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親や高齢者と対話し、学ぶヒントに ある写真家の「有終写真」という取り組み

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オトナンサー

「知らなかった」という後悔を残さない

 私自身もそうでしたが、親を亡くしたとき、「実は親のことをあまり知らなかった」「もっと親と話をしておけばよかった」と後悔した人は少なくないでしょう。  進学や就職、結婚などで家を出て以降は、親と会話をする機会が減り、話をしても現況を報告し合うくらいのもので、大抵の人は親の人生のストーリーや考え方、価値観、心境といったことは知らないまま、互いに年を重ねてしまいます。  親子の会話が失われると、「家族の物語」が喪失しかねません。「自分」への無理解、すなわち「自己を理解する根拠」を失うことにもつながります。とはいえ、改まって親の話を聞くのも気恥ずかしい、気が引けるという心理も(特に男性には)あるでしょう。「自分史」のようなものを、親が書き残してくれるわけでもありません。  有終写真という機会は、写真撮影という場や、第三者による上手な問い掛け(質問や傾聴の姿勢・スキル)によって親子の深い対話を発生させており、高齢の親に対する子の理解不足を解決するためのヒントを与えてくれます。

高齢者の感性、境地に学ぶ

 相葉さんは、高齢者が有終写真に入れたメッセージの中に、忘れられない言葉がいくつもあるといいます。ある高齢女性が娘さんとお孫さんを連れて3人で撮影に来られた際、幼い孫娘を抱き寄せながら、こうおっしゃったそうです。 「孫ができて分かったことがあるの。子どもは『愛されるために生まれてくる』のではなくて、『私たちに、愛するということを教えるために生まれてくる』ということ」  このような言葉は高齢者ならではのもので、若い世代ではなかなか出てきません。  さまざまな人生経験や学びの中で身に付けてきた知恵や感性、時代や社会の移り変わりを見てきた人ならではの洞察力、身体的な衰えや死を意識するようになった人の心持ち、境地――これらからにじみ出る言葉には、次世代にとって大いに学べるものがあります。  自分の親を含め、高齢者と対話する機会をどうつくるか。そこでどのような問い掛けをし、どんな態度でそれを聴くか。有終写真を参考に、次世代はもっと考えてもいいでしょう。そして、そのような機会を通じ、高齢者自身にも意義とやりがいを大いに感じてもらえるはずです。

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 川口雅裕

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