神社の銅屋根盗難多発 関東、転売目的か
茨城県や千葉県、栃木県の神社で、銅製の屋根や扉などが盗まれる被害が相次いでいる。犯行は夜間に多く、千葉県警などは、転売目的による犯行の可能性もあるとみて捜査している。 茨城県では今年は10月20日までに75件の被害が発生。被害額が400万円に上るものもあるという。千葉県警によると、今年は10月13日時点で、香取市や佐倉市など5市で8件の被害があった。4件は9、10月に起きた。栃木県神社庁によると、今年は10月29日時点で佐野市や小山市で2件の被害があった。
無人狙い 氏子「罰当たり」
被害があった神社の多くは宮司が常駐しない神社だ。千葉県香取市の天之宮神社では9月中旬、本殿の銅製の屋根が縦約6メートル、横約5メートルにわたり盗まれているのを農家が見つけ、警察に被害を届け出た。 ちょうず場が倒され、縦約60センチ、横約2メートルの銅屋根も盗まれた。神社は木立に囲まれ、周囲に民家はない。屋根の約3分の2が盗まれ、現在は雨漏りを防ぐためブルーシートで覆っている。修理には約250万円かかるという。 「農作業の合間に一日の無事や豊作を祈る、農家の心を癒やしてきた場所。罰当たりで人心を傷つける」と、氏子で稲作農家の星野茂男さん(70)は怒りをにじませる。犯人は夜中に本殿脇の神木の囲いに足を掛け、持ち込んだはしごを使って登り、屋根を剥がしたとみる。 神社は無人で防犯カメラはない。市内神社の宮司が神事をし、氏子51戸が境内の清掃などの管理をしてきた。氏子で稲作農家の星野豊雄さん(83)は「住民からの寄付で350万円を集め、38年ぶりに改修したばかりなのに」と肩を落とす。 銅は世界で需要があり、国内相場は1キロ700円前後と高値で安定している。県警は転売目的や、神社の飾り金具や紋などを収集するマニアによる犯行の可能性もあるとみて捜査している。
日本農業新聞