20代でサブスク離れが急増中!「解約されないサービスの特徴」とは
音楽、ドラマ、家具など業界を縦断し続けるサブスク業界は全盛期を迎えている。しかし、意外なことに若い世代になればなるほど、サブスク解約率は高いようだ。なぜ若者の間でサブスク離れが進んでいるのか?そこにはコスパを求め続ける若者ならではの価値観があった――。※本稿は、宮下雄治『こうして顧客は去っていく サイレントカスタマーをつなぎとめるリテンションマーケティング』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 契約と解約を繰り返しながら 多様なネットサービスを試す 2023年4月、筆者は、デジタルサービスの解約実態をとらえることを目的として、消費者アンケート調査を実施しました。 アンケートは、デジタルサービス(サブスクサービスとECの双方)を利用した経験のある20代から50代までの日本在住の男女、合計1035人を対象に行ないました。 有料のサブスクサービスで利用したことがあるサービスは、表で示すように、高い順から動画配信(70.0%)、音楽配信(43.3%)、電子書籍(18.8%)、ゲーム(12.9%)となりました。その他、多岐にわたるサービスにおいてサブスクが利用されていることがわかります。 年代別に見ると、ここで挙げたサービスのうち、「電子書籍」、「家電/家具」、「自動車」をのぞいたすべてにおいて、20代の利用が有意に高い傾向が見られました。ちなみに「電子書籍」は40代が他の世代に比べて高く(利用率22.2%)、20代がいちばん低い結果(同15.8%)になりました。
年代に性別を組み合わせた結果を見ると、「20代女性」の利用率が「電子書籍」と「ゲーム」をのぞいて相対的に高い傾向が見られ、サブスクのメインユーザー層であることがわかります。 一方で、解約率(チャーンレート)について見ていきます。 解約したことのある有料のサブスク(当該サービスを利用したユーザーを対象)を見ると、いずれのサービスも5割程度の高い解約率にあります。「自動車」(69.2%)が最も高く、「音楽配信」(43.2%)が最も低い解約率となりました。 「音楽配信」をのぞいたサービスの解約率は、いずれも5割以上となり、とくに「自動車」(69.2%)、「コスメ」(66.7%)、「飲食店」(62.1%)などサブスクといえど利用料が比較的高額なサービスや、モノの利用や消費を対象としたサブスクにおいて高い傾向が見られました。 利用率が最も高かった20代が、解約率においても相対的に高い傾向が見られます。20代の若者層はサブスクへの抵抗が低く、契約・解約を繰り返しながら日常的にさまざまなネットサービスに触れて生活している傾向が見てとれます。 ● サブスク利用者の3人に1人が お試し期間で去っていく サブスクを利用した経験のあるユーザーに、サービスを解約した経験についてたずねたところ、最も多い回答が「無料期間が終わると解約する」で33%となりました(選択肢のうち、最も経験数の多いもの)。 実に3人に1人がお試し期間でサービスから去っていくのが実態なのです。ネットを介して簡単に入会や契約ができるサブスクサービスは、入会のしやすさゆえに解約のしやすさにもつながってしまう点は否めず、その特徴が調査結果に表れています。