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「高校野球の開催は可能だった」感染症の専門家が語るゼロリスク思考の弊害

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BuzzFeed Japan

新型コロナウイルスの流行第一波が収まりつつある。落ち着いて見ると、これまでの対策や私たちの行動には、日本特有の文化とも言うべき「忖度」や「ゼロリスク思考」など不思議な現象が見え隠れしている。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】 感染症専門医として書籍や取材対応、SNSなどで積極的な発信を続ける神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎さんに、様々な疑問をぶつけてみた。 ※インタビューは5月21日午後にスカイプで行い、その時の情報に基づいている。

「相談・受診の目安」はお為ごかしだ

――厚生労働省は「相談・受診の目安」を作っていましたが、「37.5度以上の発熱が4日以上」などの基準が「受診抑制につながる」と批判を受けて、数値なしの内容に変更しました。先生は著書の中で、厚労省が絶対的な基準のように見せ、保健所がそれを四角四面に受け止めて患者に対応したことを批判しています。 要は責任を取りたくないのですよ。 ――文面そのままを受け止めて運用していました。厚労省が「誤解が多いから」と変更したことについてはどう考えますか? 誤解が多いなんていい加減なことを言ってはだめです。厚労省は当然、誤解すると思って書いているはずです。確信犯です。よう言うわ、と呆れます。 ――受診や検査が殺到しないようにという意図だったということですね。 検査を抑えるためにわざとこういう文言にしたに決まっています。 似たような話で、「よう言うわ」と思ったのは、高野連(日本高等学校野球連盟)が、球児たちの安全と健康を考えて、夏の甲子園の大会を中止したと発表したことです・ 毎年炎天下で試合させていたくせに「よう言うわ」とぼくは思いました。球児の健康なんて考えていないでしょう。ちなみに、ぼくは「全試合甲子園でやらない」という条件下なら、高校野球の開催は可能だったと思っています。 同じように、「受診の目安」ですが、厚労省が本当に絶対的な基準ではないと考えていたのなら、何回も受診や検査を断られたというエピソードが報じられている時に、「あれは絶対的な基準ではなくてあくまでも目安ですから、臨機応変にやってください」と大臣が繰り返し、アナウンスすればよかっただけです。 それを全然言わないで、後から「あれは誤解でした」なんて、何を言っているんだと思います。 ましてや厚労省は、監査などにかこつけて、いくらでも恣意的に弱いものいじめができるわけです。医療機関でも保健所でも、なんだかんだと言い訳をつけて、言うことを聞かない人たちを裏から罰する権力を持っている。 例えば、病院監査とかで細かいところで揚げ足取りをすれば、気に入らない医療機関を罰したり脅したりするのは容易です。 いくらでもいじめることができる絶対的な権力を持っていて、「厚労省の基準はそのまま聞かなくてもいいのですよ」と言われても、保健所や病院の多くは、いうことを聞くに決まっている。 そういう構造問題があることを熟知した上で「誤解していた」といけしゃあしゃあという。あんなお為ごかしはないですよ。

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