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「弁当の日」映画完成 作って育む生きる力 実践する学校1年間密着 4月から自主上映

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日本農業新聞

 子どもが自分で調理した弁当を持ち寄り、食べる取り組み「弁当の日」を追った、ドキュメンタリー映画「弁当の日~『めんどくさい』は幸せへの近道」が完成した。実践する小・中学校などを1年間撮影。弁当作りを通じて、不登校、コロナ禍など人生で直面する壁に向き合う子ども、親、教員の成長を収めた。11月から自主上映の受け付けを始める。(長野郁絵)  弁当の日は、香川県の小学校校長だった竹下和男さんが2001年に始めた取り組み。子どもが献立作りから食材の購入、片付けまでを行い、学校に持参する。  映画では、弁当の日で変化する子どもと親、周囲の大人の心境の変化を映し出す。  日頃、家で弟たちの食事作りをしていた不登校の男子中学生は、弁当の日に持参した弁当がみんなから注目を集めたのを機に、進学を意識し始める。弁当の日を実施したいが、周りから賛同が得られないと思っていた中学校の校長は、実現したことで、「子どもや教員を信じていなかったのは自分」と気付く──といった姿を描いた。竹下さんが弁当の日を始めた小学校の卒業生の今も収録した。  弁当の日を通じて養うのは自立心や感謝の心だ。作り手に回ることで作る大変さを知り、作り手に感謝する。人と食卓を囲む楽しさ、作ったものを喜んでもらううれしさを知ることで、親になったときに子育てを楽しめるようになる。  貧困や多忙でまともに食べさせてもらってなかったり、「食事作りは親の仕事」と手伝いをさせてもらえなかったりした子どもは、食への意識が薄く、自分で食事を作ることができない大人になるとの問題意識がある。  家族のだんらんを生む弁当の日が、子どもの非行や性の問題、児童虐待などの解決の糸口にもつながるとして支援する人も多く、全国2000の小・中学校で実践されている。  一方、1年だけ、1回だけの単発の取り組みで終わることも多い。  映画は、弁当の日を支持する人たちが、弁当の日への理解を深めてもらうために製作した。製作した映画は自主上映に貸し出し、普及につなげる。製作費の一部は、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで約400万円が集まった。  監督を務めたのは、製作委員会のメンバーで、映画「はなちゃんのみそ汁」の原作者の安武信吾さん。「私自身、妻が他界して途方に暮れていたときに、娘が作ったみそ汁で『しっかりしないと』と思わされた。子どもの成長を見て、親や教師が変わる。映画を通じ、子どもを取り巻く環境を変えることが、弁当の日の本質にあると感じてほしい」と強調する。  「弁当の日は、子どもの自己肯定感を高め、生きる力を育む。コロナ禍という非常時だからこそ、自炊する力を持つ大切さを見直してほしい」と安武さん。  映画は全編で97分。今秋、協賛企業・団体による試写会が開かれる予定だ。一般向けの自主上映への貸し出しは、11月から受け付け、21年4月から開始する。  19年度の食育白書によると朝食を欠食する20、30代は26%に上る。

日本農業新聞

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