日鉄・JFE・神戸製鋼…高炉3社の通期予想、全社事業減益の理由
高炉3社の2025年3月期連結業績予想は、全社が本業のもうけを示す事業利益(神戸製鋼所は経常利益)で減益を見込む。自動車向けの需要が国内外で減少するほか、中国の景気減速で余剰鋼材が東南アジアなどに輸出されることによる、海外を中心とした鋼材市況の軟化が利益を下押しする。各社は厳しい事業環境の中でも販売価格の改善やコスト削減を徹底し、利益の確保につなげる。 神戸製鋼所は経常利益で前期比6・8%減の1500億円を見込む。素材系事業は鉄鋼分野で中国における日系自動車メーカーのシェア低下などにより、従来想定より自動車向けの需要が伸び悩み「販売構成が悪化」(木本和彦取締役執行役員)。利益を50億円押し下げる。さらに機械系事業で欧州の景気後退を背景に建設機械の需要が急激に減り、145億円の減益要因となる。 JFEホールディングス(HD)も自動車向けが足を引っ張り、事業利益で同12・8%減の2600億円を見込む。在庫評価差などを除く実力ベースの事業利益は同4%増の3080億円とするが、従来予想比で270億円下方修正した。取引先の国内自動車メーカーによる新たな品質・認証問題が発覚し、上期に車向け鋼材販売が減る。 日本製鉄は事業利益が同19・5%減の7000億円、実力ベースの事業利益は同16・6%減の7800億円を見込む。鋼材のマージン(利ざや)が海外市況の低迷などにより前期比で700億円減る。ただ、森高弘副会長は「(大口顧客向けの)ひも付き価格と市況価格は完全に分離している」と強調。引き続き販価改善を進めるとともに現在進行中の構造改革を完遂し、さらなるコスト削減を目指す。 一方、24年4―6月期連結決算は全社が減収減益だった。海外市況の軟化が足かせとなった。