東京ヴェルディのトッティ獲得失敗の真相とは?
「私自身、代理人からの情報しかないから。ただ、私が聞いているところでは、そういう(日本でプレーする)ことですよね。獲得できればどのようなことが起こったのか、というところは私自身もすごくわくわくするところがありました。 私の気持ちを言ってみたところで、何にもならないことですけど。ただ。ヴェルディのユニフォームを着ているトッティの姿を見てみたかった、というのはものすごくあります。その点については残念ですけど、交渉事なので、こういうことはよくありますから」 一連の交渉で、トッティ側へ提示した条件は年俸300万ユーロ(約3億7500万円)とされる。獲得を後押ししてくれたクラブのスポンサー2人の協力を得たうえで、トッティの肖像権を管理する会社を設立。そこから出る利益から、2人への出資金を返済していく計画も立てていたと羽生社長は明かす。 「私たちがどれくらい彼の肖像権をもてるのか、という点も向こうの代理人とは話していました。トッティ獲得が正式に決まった瞬間に、そういう決まりごとに基づいて会社を作ろうと。もちろん弁護士や公認会計士、税理士とも相談しながら、できることは全部やろうとしていました」 今回はトッティという特別な才能をもつ選手が対象ということで、特別なスキームを組んでまで交渉に臨んだ。「トッティがダメなら他の選手を取る、とはなりません」と不退転の覚悟を示していた羽生社長は、交渉事の難しさをあらためて実感しながら一抹の無念さも隠せなかった。 「一度も(トッティ本人に)会えずに終わってしまったので。そういう(会える)チャンスを作ってほしいと代理人にはずっと言っていたし、毎日のように『明日にでもローマに行く』という思いでいたので。その点に関しては、代理人に対して不満なんですけどね」 16日時点でもトッティ自身は今後を正式に表明していないが、二択のひとつだったヴェルディ入りが消滅したことで、6年契約とされるローマとの契約書に近く正式にサイン。2000‐01シーズンのセリエA制覇を味わった盟友、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ新監督をチームのなかから支えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)