最新福田映画「新解釈・三國志」に見る“ヒット作連発”の秘密
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
勇者ヨシヒコや銀魂実写版などの監督をされている福田雄一監督の最新作「新解釈・三國志」を観てきました。 福田監督は2020年もドラマの脚本演出や舞台の演出もしながら2本の映画を公開。そして息つく間もなく年末からの「新解釈~」 ペース速すぎない!?全部、面白いのおかしくない!? 一時期の三池監督や園監督が被るんですが、こちらはかなり(偉そうにすみません…)ムラっ気があるイメージなのに対し、福田監督のアベレージの高さよ! 前2者の作品を観るときは「シェフの気まぐれ」、対して福田作品は「ファーストフード」のような安心感とでも言うんでしょうか?(皮肉じゃないです!誉めてます!) さて、んじゃあ、どうして福田作品はこんなにもコンスタントにヒットを飛ばせるのかという謎を僕なりに“新解釈”してみたいと思います。 まずは皆様お気づき「豪華キャスト」、この人たちを野放しにしてアドリブさせてれば「画面が“もつ”」!画面がもつということはそれだけ尺が稼げるので、映画という大勢の人間が動く現場で、難しいことをして1分のシーンに1週間かけるより、面白い人を3分自由にさせる方が圧倒的にコスパがいいですよね。 更に、ここは業界的な話になりますが、こんだけ豪華キャスト集めたら「スケジュール調整」めちゃくちゃ大変なんですよ。そこもよく観てみると、その辺の映画ではありえないぐらい「1ショット」と「2ショット」が多用されている。「一堂に会する!」みたいなシーンを多用しない辺りにも、この「豪華キャスト大集合」を実現させた秘密があるんじゃないかと思います。 次に「話の背骨」、こんだけアドリブ満載で崩した作りなのに、最後まで飽きずに観られるもう一つの要素が「三国志だから」 そもそも三国志自体にロマンとドラマが満載ですもんね!どんなに崩しても芯を外さなければ絶対に面白い。昔、写真家篠山紀信さんは「被写体の良いところを一瞬で見抜くからあまりシャッターを切らない」って伝説を聞いたことがあるんですが、福田監督にもそういう「ストーリーのキモ」を一瞬で見抜く審美眼があるんじゃないかと思ってます。だからこそどんどん脚本も書けるし、カッコよく締まる作品に出来る。 最後に…ブランド!福田ブランドの確立! 俳優さんたちも「どうすればいいか」を持ち込んできやすいから撮影もスムーズだろうし、観客も「あれが観たい!」と明確な目的をもって観に来るからハズレがない。スゲーよ!そうなるまでにどんだけ努力したんだよ! 今回の「新解釈~」は、いうなればそういう福田ブランドの(誉めますよ…誉めてますよ…) 福田ブランドの悪用! ペヤングで言えば激辛とかパクチーとか!ブランドを悪用して皆で楽しく遊びました!っていうとても愉快で楽しい傑作でした。