「ほとんどはレベルが低くてくだらない」古代ギリシャの哲学者に学ぶSNSの心得とは?
これらのプラットフォームには優れた点も確かにあります。人を互いに結びつけ、新しい発想を生み出し、新しい意見を広めます。 しかし、脳が本能に振り回されるきっかけとなる中毒性のあるもの全てに言えることですが、取り扱いには注意が必要です。 SNSを利用し上手に活用するのに、SNSが登場する何千年も前に生まれた哲学など役立たないのではと思われることでしょう。でもストア哲学には、賢くネットでつながるために役立つ助言や手段がいくつかあるのです。 ● もしも古代ギリシャやローマに SNSが存在していたら? もしも古代ギリシャや古代ローマにSNSが存在していたらもちろん、ゼノン、クリュシッポス、エピクテトス、セネカを始め、みんながSNSを利用したでしょう。 本来のあり方からすれば、SNSは人々を結びつける素晴らしい手段であり、彩色回廊の階段(すなわちストアのことで、ストア哲学の名前はここから来ています)での集いを再現するような共同体や、当時の哲学界での異なる学派同士のつながりや対話のネットワークを作り出したはずです。 想像してみてください。船が難破し、積み荷がダメになり、見知らぬ土地で困り果てているゼノンがやって来たところを。時間を持て余して哲学を学びたいと思っており、もしかするとこんな具合にネットに投稿するかもしれません。
「やあ、今アテネで足止めを食らっていて、誰かいい哲学者がいないか探しているんだ――報酬が高すぎるのはなしで!拡散希望!」 この場合はSNSが良い形で機能しています。信頼できる有用な情報を求めて手に入れることができ、それが品性を磨くのに役立つのです。 ● SNSに飛び交うデマの見分け方とは? エピクテトスが語る理性力 しかしストア派の人々は、自分の行動の拠りどころとなる情報については慎重な態度をとっていました。 理性的な思考を重んじ、軽率な行動や不安と混乱からの行動はとらずに、確実な情報に基づいて行動し状況をじっくり見定めました。 SNSでは、デマ情報が流され、それに関する意見が生じ、危機感や恐怖を煽って利用しようとする者や、自分がいかに道徳的に優れているかをアピールする者が出てきて混乱の様相を呈し、明白な事実や情報が見えにくくなる可能性があります。 情報に信用性がなかったら、理性的に物事を判断するのは無理です。SNSの情報を利用する際にまず行わなくてはならないのは、それが自分に信頼できる情報を与えてくれるのか、それともデマなのかを問うことです。デマ、あるいは認証されていない情報源からのものであれば無視しましょう。 エピクテトスには、あたかもSNSについて語ったかのような言葉があります。