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知って防ごうマダニ感染症 死の恐れも、広島・山口で多発

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中国新聞デジタル

 屋外に生息するマダニを介した二つの感染症が私たちの生活にじわりと忍び寄っている。死に至ることもある重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、昨年初めて全国の年間患者数が100人を超えた。広島、山口県など西日本で目立つ。3年連続で300人以上が発症した日本紅斑熱は広島県東部が多発地域。マダニは秋にかけて活発になる。広島県内の専門家は、アウトドアでの遊びや畑作業のときはしっかりと防御するよう呼び掛ける。 【図表】マダニによる主な感染症  ■マダニとは?  広島県保健環境センター主任研究員の島津幸枝さんによると、マダニがいるのは森や草むら。民家の庭にいることもある。島津さんは「隠れ場所になる植物があり、血を吸える動物のいる場所ならどこでもいる」と強調する。イノシシやシカの生息域の拡大で、これまで出なかった場所での感染報告が増えている。  活動が活発なのは春から秋にかけてだ。冬が暖かかったため、今季は越冬したマダニも多いとみられる。卵からかえった幼虫は0・5ミリ程度。成虫で2・5ミリになるが、1センチになる種もある。自分ではほぼ移動せず、通りがかったネズミやタヌキ、イノシシなどの血を吸って、満腹になると落下する。  こうしたマダニの一部がウイルスなどの病原体を持っている。通常はかまれても痛くもかゆくもなく、いったんかみつくと2~5日ほど血を吸い続ける。  ■症状と治療  SFTSの累計患者数は、7月19日までで広島県50人、山口県51人で、両県で全国の2割弱を占める。ことしの報告数も広島が全国最多の7人だ。60歳以上が多い。  県立広島病院総合診療科・感染症科の岡本健志部長によると、医療機関には、発熱や吐き気の症状でかかる人が多い。6割の患者はどこを刺されたか分からず、通常の風邪と間違いやすい。感染から発症までの潜伏期間は6~14日。岡本部長は「発症1週間前くらいの行動歴を知ることが早期診断のポイントとなる」と強調する。  怖いのは、患者の2割ほどが亡くなる点だ。重症化すると、肝機能が悪くなったり、血液が固まり多臓器不全になったりする。抗菌薬は効かず、対症療法が主体となる。インフルエンザの薬のアビガンを使うこともある。  日本紅斑熱は潜伏期間が2~8日と短い。尾道、三原市での報告例が多い。発熱に加え、腕や脚に発疹が出やすく、岡本部長は「手のひらにも出るのが特徴的」と言う。やはり重症化することがある。一般的な肺炎などに使う抗菌薬は効かず、特殊な2種類の抗菌薬を併用して治療する。  ■予防  広島県保健環境センターの島津さんは、「マダニにかまれないためにはまず、服装に気を配ってほしい」と言う。長袖、長ズボンで肌の露出を避けるのが基本。さらさらした布地で、ダニが付いたらよく分かる明るい色がお薦めだ。ズボンやシャツの裾からもマダニは侵入する。ズボンの裾を靴下に入れるなどしてガードするといい。  虫よけを持ち歩き、首元や裾などは念入りにスプレーしたい。道端の草には触れないで。けもの道は特に注意が必要だ。やぶで用を足す時にかまれた例もある。帰宅すれば、服をはたいてから家に入り、すぐ入浴しよう。脱いだ服はすぐに洗濯するか、ポリ袋に入れて口を縛っておく。  かんでいるのを見つければどうすればいいか。腹をつまむと、病原体が人の体内に押し出される恐れがあるので、早めに皮膚科などで取ってもらおう。マダニを指でつぶすのは禁物だ。発熱などの症状があればすぐ、内科を受診しよう。

中国新聞社

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