「ゼロ高」設立 堀江貴文氏が学校教育や教養について語ったこと
実業家の堀江貴文氏が主宰する「ゼロ高等学院」が今年10月に開校する。いわゆる学校教育法上の「高等学校」ではなく、通信制高校をサポートする教育機関で、堀江氏の「学校教育を壊す(ディスラプトし再構築する)」という発言をきっかけに設立構想がスタートしたという。かつてはライブドア社長としてIT業界を席巻し、現在はインターネットの世界のほか、ロケット開発事業に関わるなど、多方面で活動する堀江氏は、どんなことを考えて「教育」の世界に飛び込もうとしているのか。7月26日に東京都内で開かれた開校記念会見から見てみた。
サラリーマン・システム「完全に崩壊」
「中等から高等教育改革は待ったなし」 堀江氏は会見でそう打ち出した。理由は「AIやロボットによって、今後ホワイトカラーの仕事からなくなっていく」から。堀江氏が、筑波大准教授でメディアアーティストの落合陽一氏と著した「10年後の仕事図鑑」では、今後なくなったり減ったりする仕事として、農業や窓口業務のほか、医師や銀行員、クリエイターやアート関連、翻訳などを挙げている。 こうして仕事を失っていくと、みんなが定年後のサラリーマンのようになってしまい、「社会が不安定化していく」という。「つまり生き方を変えなければならない、アップデートしなければならない」。教育改革を唱える背景に、まずテクノロジーの発展による時代と社会の大きな変化があると説いた。 「(時代は)完全にテクノロジーで変わっている。スマホやブロードバンド、インターネットで、画一的な生き方をしなくても生きていけるようになった」 これまでは、生きていくために「協調性や会社に入ること、家族をつくること」が大事だったと指摘する。生きていくには「お金がかかる仕組みになっていた」ため、人はまずお金を稼ぐ必要があり、その主要な選択肢がサラリーマンになっていたからだ。 しかし現代は、テクノロジーによって「いろんなものシェアリングできるようになり、生きていくのにお金もあまりかからなくなった」。サラリーマンになってお金を稼ぐ、というような仕組みが「完全に崩壊した」と強調する。 さらに、学校教育の弊害については「同世代としかつるまないという文化をつくる」ことを挙げた。「まったく自分と同じプロファイル(経歴や属性)を持つ人たちとばかりつるんでると多様性を受け入れられなくなる。それも含めてそういう場をつくっていかなければいけない」