「24年大統領選候補にヒラリー・ クリントン氏浮上」報道に見るバイデン政権の苦境
2024年の次期大統領選挙をめぐり、アメリカメディアで「ヒラリー・クリントン氏の再出馬待望論」が飛び出した。その背景に見えるのは、政権発足から間もなく1年を迎えるバイデン大統領と、与党・民主党の抱える「苦境」だ。
突然取りざたされたヒラリー氏の名前が意味するのは…
「ヒラリー・クリントンの2024年大統領選挙へのカムバック」。有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」のオピニオン欄に、今月11日、こんな記事が掲載された。 元ニューヨーク市議会議長らが書いたこの記事では、バイデン政権と与党・民主党が、11月の中間選挙で負けて議会の主導権を失った場合、ヒラリー氏が「党のイメージを変える新たな顔」として、再び大統領候補に浮上すると指摘。経験豊富で知名度が高い上、バイデン大統領より若く、現在の政権とは違う政策アプローチを示すことができるとして、「かつてはあり得なかったシナリオが、もっともらしくなってきている」としている。 もちろん、この論説を額面通りには受け止められない。そもそも、79歳の「バイデン氏より若い」と言っても、ヒラリー氏は現在74歳。記事の掲載以降、アメリカメディアはこぞってこの「仮説」に反論している。 「確かにクリントンは政治家として、間違いなく最も印象的な経歴を持つひとりだ。問題は、2016年の大統領選でも、2008年の大統領選の時でさえ、そうだったということだ。そして彼女は両方の選挙に負けた。当時と今の間で何が変わったのか?クリントンが『代わりの候補(change candidate)』になれるとは全く思えない」(CNN) 「この記事は、公開以降、批判と嘲笑を引き起こした」(news week) ヒラリー氏自身、2017年に「現役の政治家としての活動は終わった」と発言している。ヒラリー氏の名前は、メディア各社の世論調査にもほとんど登場していない。唯一、マサチューセッツ大学とyougovが去年12月に行った「24年大統領選候補」調査で名前が挙がったが、支持する人はわずか6%で、民主党内の7番目となっている。 今回、ヒラリー氏の名前が取りざたされたのは、低支持率にあえぐバイデン政権の苦境、さらにはバイデン氏に代わる次期大統領候補が乏しい、民主党の現状の裏返しにほかならない。