EXILE、ATSUSHIとTAKAHIROの特徴 NESMITH&SHOKICHIも加えた4人構成も分析
「愛のために ~for love, for a child~」から考える、4人構成の魅力
現在のEXILEは、先に紹介した2人がメインで歌っているほかEXILE NESMITH・EXILE SHOKICHIもボーカルとして楽曲に華を添えている。ここからは最新曲を通してその構成の魅力について掘り下げる。 今年の初めにリリースされた「愛のために ~for love, for a child~」は、美しくシンプルなメロディとボーカリストそれぞれの語り掛けてくるような優しい歌声が耳に残る壮大なバラード。特筆したいのはATSUSHIの歌い出しから4人が等分に歌い繋いでいくサビまでの流れだ。力を抑えた低音のフレーズでもしっかりと芯を響かせるATSUSHIの歌い出し(0:45~)。そして息を短く切り語尾の抑揚を抑えることで声音の透明感を際立たせ、爽やかな余韻を残すTAKAHIRO。続いて登場するNESMITHの力強い歌声が、メロディの変化と相まって楽曲をドラマチックに展開させる。そして、SHOKICHIの上昇していくパワーのある実体感の強い歌声が積み重ねてきた情感を最大限に増幅させ、サビの心温まるユニゾンへと繋いでいく。 EXILEの楽曲は、メロディラインや構成自体は非常にシンプルで耳に残りやすいものが多く、そのメロディを技量の高いボーカリストが表現豊かに歌い上げることで数々のマスターピースを作り上げてきた。それは「愛のために ~for love, for a child~」も同様であり、特に今回紹介したサビまでの流れに関しては「特徴の大きく異なる4人の歌声がそれぞれの高い技量で美しいドラマを作り上げていく」という、現在のEXILEの魅力が凝縮された数十秒間となっている。 先述した通り、EXILEは来年の2021年にデビュー20周年の節目を迎えるほか、近々のニュースとしては11月4日、EXILE ATSUSHIの新しいソロアルバム『40 ~forty~』がリリースされる予定となっている。 これまで数々の名曲を世に出し、LDHとしての文化の原点を作り上げてきたEXILE。その文化は今や数々の後輩グループにも継承されつつあるが、彼ら自身もまたグループとして進化し続けている。積み重ねた年月の分だけ熟成された音楽表現、その変遷を今後も楽しみに見届けていきたい。
日高愛