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目の前で全員殺された例も、暴力にさらされ国民の大多数が心に傷 アフガン

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The Guardian

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が、紛争で荒廃したアフガニスタンで心の健康面でのサポートが欠如している現状について警鐘を鳴らしている。同国では、人口の半数以上が精神的な苦痛を経験しているという。  HRWは、心を病んでいる人が多いにもかかわらず、政府は適切な支援を提供できていないと指摘している。支援を受けられているのは、人口の10%にも満たない。  HRWは、2018年に欧州連合(EU)が行った調査を引用し、アフガニスタンの大多数(85%)が心的外傷を負うような光景を少なくとも1度は目にしたか、実際に経験しているとした。40年以上にわたって紛争状態が続く国では、過酷な体験が日常的になっているが、そこで受けた心的外傷に対処するための支援は一般的とは言い難い。  同国のジャーナリストのマリアム・シャヒさん(33)は3年前、カブール市内のデーマザン広場2か所で発生した同時爆撃に巻き込まれた。当時は、このショッキングな出来事にこれほど後になっても苦しめられるとは思っていなかったが、昨年、大学で卒業論文に取り組んでいたときにストレスを感じるようになり、パニック発作を起こすようになった。 「恐ろしい爆撃を目にしました」とシャヒさんは話す。「目の前で全員殺されました。私だけが奇跡的に助かった。普段はのんびりしてますが、どんなにのんびりしていても、この出来事が襲い掛かってくるんです」  政府の文書によると、支援を受けているのは人口の10%に満たず、特に女性や女子には、さらなる試練が待っている。女性たちが医療サービスを利用できるか否かは、「多くの場合、家族の中の男性によって決定され、条件として、女性職員による男女別の応対を受けられる、医療施設の入り口や待合室が男女で分かれていることなどが挙げられている」とHRWは説明する。  シャヒさんの問題は主にサービス自体がなかったことにある。国内の医師は、心の病の専門家に紹介することができず、シャヒさんは、治療を受けるために隣国イランまで行かなければならなかった。しかしイランで精神科医による治療を受け、帰国してからも、電話やメッセージアプリ「テレグラム」を使ってオンラインで治療を続けている。今、ようやく回復に向かい始めている。  アフガニスタンの医療制度は弱体化しており、精神保健医療に関する政府予算は1人当たりわずか0.26ドル(約28円)。世界保健機関(WHO)が推奨する1人当たりの金額3~4ドル(約325~434円)を大きく下回っている。精神科医は43万5000人当たりに1人、臨床心理士は33万3000人に1人で、精神保健に携わる公共施設はわずか200床しかなく、これは17万2500人当たり1床に相当する。 「何十年にもわたる暴力で、アフガニスタンの多くの人々は、肉体だけでなく心にも深い傷を負っている」と話すのは、HRWで紛争と危機問題を研究しているジョナサン・ペドノー氏だ。 「暴力や自爆、空爆にさらされた人々を支援し、生き延びた人や家族、そして地域社会全体が長期的にむしばまれないようにするための心理的サービスの拡大が急務となっている」 【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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