ツチクジラ漁が始まる 南房総の和田漁港(千葉県)
房州の夏の風物詩、沿岸小型捕鯨漁が5日から始まった。南房総市和田地区の和田漁港では6日早朝、同地区の外房捕鯨株式会社(庄司義則社長)が、ツチクジラ1頭の解体を行った。 全国4カ所の沿岸捕鯨基地の一つである和田地区。今年は4日からの操業だったが、海況が悪く船が出せなかったため延期し、5日が初漁となった。 初漁のツチクジラは、体長8・61メートルの雌。5日午後1時20分ごろ、銚子市の犬吠崎から北北東の沖合約60キロの海上で、同社の第51純友丸が捕獲した。約17時間、海中で熟成させ肉を柔らかくし、6日午前6時ごろ和田漁港の処理場に引き揚げた。 解剖員らは、引き揚げられたクジラに神酒をかけて初漁を祝い、作業と今後の漁の安全を祈願した後、刃渡り約30センチ、全長約2メートルのなぎなたのような刃物を使って解体を開始。威勢の良い掛け声とともに刃を入れ、ワイヤで引っ張りながら皮を切り離し、手際良く赤身を切り分けた。 庄司社長によると、環境の変化や海水温の上昇の影響か、クジラの発見頭数が減っているといい、令和2年から5年までは毎年9頭前後の捕獲にとどまっている。「初漁を迎えられて、一安心。今年は昨年よりも捕獲頭数を増やしたいが、安全第一で、無事に終えることができたと報告できるように操業していきたい」と話している。 今年、同社の捕獲枠は22頭。2隻で操業し、8月中旬までを予定している。クジラは、加工食品として店頭に並ぶ他、安房地域では切り分けられた生肉が販売される。