“ボトルtoボトル”の水平リサイクル推進、自販機横の使用済みPETを資源に アサヒ飲料
アサヒ飲料は5月10日、同社グループが管理する自動販売機横のリサイクルボックスで回収した使用済みPETについて、ケミカルリサイクルで同社のPET商品に再利用する「水平リサイクル」の取り組みを開始すると発表した。 自動販売機横で回収される使用済みPETボトルは、回収ボックス内にラベルやキャップの他、ゴミの混入や飲み残しなどが多く、ボトルからボトルへの水平リサイクルが困難だった。水平リサイクルとは、同じものから同じものに生まれ変わるリサイクルの形のこと。 大手各社は、ボトルtoボトルの水平リサイクルを進めているが、主流はメカニカルリサイクルと呼ばれる物理的再生法だ。これは、キャップとラベルを剥がした状態にしないとリサイクルができないため、市町村系の資源ごみをリサイクルするケースが多い。 ケミカルリサイクルは、分子レベルまで分解して不純物を取り除いたのちに、新たなPET樹脂を作る技術を活用する。メカニカルリサイクルよりもエネルギーはかかるが、不純物の混ざったPETボトルもリサイクルしやすい技術である。 5月中旬からアサヒ飲料販売の首都圏エリアの自販機約3万台で回収される約2000トンの使用済みペットボトルを対象に、水平リサイクルを開始する。順次、取り組み量を拡大し、年内には中部・近畿エリアへの拡大も検討するという。
アサヒ飲料の米女太一社長は、5月10日の発表会で次のように語った。「販売者の責任として、自社で作るペットボトルは自社で再利用する循環を構築し、持続可能な容器包装の実現に貢献したい」
今回の水平リサイクルの流れは次の通り。回収した飲料の空容器を中間処理業者で容器ごとに分別し、ベール化、フレーク化したPETボトルを、日本環境設計の子会社のペットリファインテクノロジー社の工場でリサイクルPET原料に再生し、アサヒ飲料の商品に再利用する。同工場は、世界で唯一ボトルtoボトル向けのケミカルリサイクルの商業運転を行っている。 米女社長は、今回の取り組み意図を次のように話す。「アサヒ飲料販売から中間処理業者までの廃棄物としてのフローと、リサイクラーからアサヒ飲料への資源としてのフローの間にあるモノの流れを、当社の意思を持ってつなぐ。それにより、事業系PETのボトルtoボトルの活用推進、ひいては水平リサイクルの向上に貢献したい」 将来は、アサヒ飲料グループの自販機販社(九州アサヒ飲料販売、ミチノク、アサヒオリオン飲料)へ拡大する考え。アサヒグループで管理する約7万台で回収したPETボトルをボトルtoボトルにリサイクルし、自社のPET飲料製品に再利用することを目指す。 飲料業界では、持続可能な社会の実現に向け、PETボトルリサイクルの動きが活発化している。5月9日にはサントリー食品インターナショナルがスーパーマーケットのヤオコーと協働し、水平リサイクルを開始することを発表した。流通企業との連携も含め、水平リサイクルの輪が広がっている。
食品産業新聞社
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