片山萌美、ふつうにいい人役はほぼ初めて 「目標は女優の太地喜和子さん」
ひと癖ある悪役経験豊富な片山が、なぜ人情厚い居酒屋店主に?
片山といえば、写真集の中でまぶしい笑顔をほころばせていたかと思うと、映像作品などでは陰湿なキャラクターや虐待母など背筋が寒くなるような悪役を演じていることが多い。 そして、今回は一転、義理人情に厚い居酒屋の女店主だ。片山が美音に選ばれた理由は、怖くて監督には聞けなかったという。しかし、『居酒屋ぼったくり』にやってくる常連客を演じた中村優一は、「片山さんは(30歳の)自分より年下なのに、すごく包容力があって、そんな店主のいる居酒屋が実際にあったら、ぜひ常連になりたい」とその演技を絶賛していた。 「うれしいです。『年齢のわりに落ち着いているね』ってよく言っていただくことがあるので、そういうのが今回、ラッキーだったのかもと思います。でも、話しているとわかると思うんですけど、けっこうゴチャゴチャしちゃうところとか、『子どもっぽい』ともよく言われて、なにか『つかみどころがない』ってこのあいだ言われたんですよ」 もしかしたら、そんなところが美音との共通点なのではないかと自己分析する。
美音は常連客から相談を持ちかけられることもあれば、逆に美音が悩んでいるときには、常連客たちが解決しようと一緒に悩んでくれる力になってくれることもある。完璧すぎないところが、人間味があって親しみやすいのかもしれない。 「ふつうの役っていうのがほぼ初めてで、すごくありがたかったし。やってみたい役柄でもあったし、楽しくやらせていただきました」
究めていきたい“ひと癖のある役” 目標とする女優とは?
一方で、ライフワークとも言える“ひと癖のある役”は、これからも極めていきたいという。 「『悪役がやりたい』とずーっと言っていたら、ありがたいことにお声がかかるようになって。最近は、お母さんの役が多くなってきています。ただ、ひどいお母さんばっかりなんです。子どもを虐待していたりとか、子どもを捨てちゃうとか。けっこう楽しくて、私はしっくりきてしまってて。悪女、意地悪な役をできれば究めていけたら、うれしいなとは思っています」 片山が目標とする女優は、故・太地喜和子さん(1943-1992)だ。 「あるプロデューサーさんから『君は、太地喜和子になれる素質があるから頑張りなさい』と言っていただいて。そのときは正直、存じあげなかったんです」 そのあとすぐに、太地さんの映画を観たり、本を読んだりして、猛勉強した。 「妖艶な感じや、ふだんのざっくばらんな感じもすてきで、女優としてだけではなく一人の女性としても魅力を感じています。いつもこのことを言うと、ドキドキします。あまりにも大物女優さんなので」 謙虚だが、目は力強く輝く。 「目標は、高くあるべきですよね」
美音のような“いい人”役が新境地だったとは。演技のふり幅を大きく広げた片山の今後を期待せずにはいられない。 (取材・文・撮影:田村豊) 『居酒屋ぼったくり』 【テレビ放送】 BS12 トゥエルビ(全国無料放送) 4月14日(土)より 毎週土曜よる9時00分より 【配 信】 U-NEXT 4月14日(土)より よる9時30分より