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民法の「懲戒権」削除を推進…「ムチを愛だと言わないで」

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ハンギョレ新聞

「君が悪いから怒られたんだ」 繰り返される虐待・暴力に、助けを求めても 警察は「君の過ち」として目を背け 裁判所では「教育目的」を理由に暴力認めず  民法の「懲戒権」に体罰を含めた認識のせい 虐待する親、しつけを主張・回避も頻繁  「虐待と体罰の区分は不可能」 「愛のムチ」の必要性を主張するが 特定行動を直ちに統制する目的に過ぎず しつけの効果なく「虐待」と同じ

 「君が悪いことをしたから怒られたんだよ」  14歳だったA君に警察はそう言った。A君は、幼い時から母親から頻繁に受けた身体的・精神的虐待と暴力的な家庭雰囲気のため家出を繰り返した。その日は玄関のドアを挟んで、家に帰ろうとするA君とA君を家に入れさせない母親がもめた日だった。A君はドアの隙間に手を突っ込み、母親がドアを閉めないようにした。バン!バン!と重い玄関のドアが何度もA君の手を打った。A君に負けじと母親がドアを強く押して閉じようとしたのだ。あまりにひどくドアに挟まれ、A君の手は血だらけになった。助けを求めてきたA君に対し、警察は「家出をしたのが過ちだ。君がしょっちゅう家出をしてお母さんつらかったからそうしたんだろう。お母さんに自分が悪かったと言いなさい」と話した。母親の暴力が、警察にとってはA君が当然受けなければならない「罰」だったのだ。結局、A君16歳で家を出て戻らなくなった。  8歳のB君も、自分が受けたことを暴力とは認めてもらえなかった。B君の義理の父親は、B君が車の中で嘔吐したという理由でB君を蹴り倒した。帰宅が遅くなると太ももにあざができるほどムチを打ち、試験の結果がよくなかった日には机の角に頭を打ちつけ、B君の目の下が切れてあざができた。B君の事件を調べた裁判官は、2017年に「被告人の行為は、被害者を教育する目的で行われたものとみられる」として、児童虐待を認めなかった。現行の児童福祉法第5条2項は「保護者は児童に身体的、精神的苦痛を加えてはならない」と規定しているが、裁判所は「親権者は保護・教養のために必要な懲戒を行うことができる」とする民法第915条の懲戒権をより重要だと判断した。  法律で親権者の懲戒権を保障する国は、地球上で韓国と日本を除いては見当たらない。特に、韓国ではこの懲戒権に体罰が含まれるという認識が強い。「親は子どもを叩くことができる」という考え方に対して依然として寛大であるからだ。そのため軽い体罰は「愛のムチ」と容認されるだけでなく、残酷な児童虐待事件も頻繁に発生する。保健福祉部の統計によると、2018年の児童虐待犯罪は約2万4千件に達し、加害者の73.5%が実の親(実父43.7%、実母29.8%)だった。  それでも虐待の通報を受けた親は「しつけ」目的だったとして逃げようとし、警察や裁判所はこの主張を受け入れ、虐待について見て見ぬふりをしたり、認めないことが多い。脱家庭青少年の自立支援活動を行い多くの虐待経験の相談に乗った「動く青少年センター・エグジット」常任活動家のイ・ユンギョン氏は、「関連機関にやっと保護を要請したにもかかわらず、懲戒権の前で挫折した児童・青少年を見ると、法とシステムが作動しない程度ではなく、むしろ虐待を煽っているように思える」と語った。  このため、児童・法律専門家は1958年の民法制定時から維持されている懲戒権条項を削除すべきだと主張する。社団法人ドゥルのカン・ジョンウン弁護士は「親は子どもに権利・権限を行使する主体で、子どもは完全な人間ではなく親の保護・養育を受ける客体または所有物という古い見方で児童虐待が発生し、放置されている」とし、「こうした見方が消えない背景には、民法の懲戒権がある」と指摘した。  一部では、制限的な体罰は子どもを正しくしつけるために避けられない手段だと主張し、懲戒権の削除に反対している。しかし、ソウル大学医学部のキム・ジェウォン教授(精神科学教室)は「虐待と体罰は区分できない」とし、「体罰は親が望ましいしつけの方法を知らない状態で児童の特定行動を直ちに止める目的で行うだけだ。その結果、児童は責任感を形成し自己調節能力を学習する代わりに、羞恥心と侮蔑感だけを得ることになる」と述べた。キム教授は「繰り返される体罰は児童期の道徳観念の内在化と自尊心形成を阻害し、青少年・成人期の攻撃的な性向を増大させるなど、虐待と同じように有害な影響を及ぼす」という点も強調した。  2018年に米国小児青少年科学会の「健康な子どもに育てるための効果的なしつけ政策声明書」が紹介した研究も、キム教授が説明した体罰の本質をよく示している。米国のある研究陣が2014年、33家族の日常生活を録音し、親と子どもの相互作用を調べた結果、児童統制のために体罰を活用した15家族で、親が言葉でしつけてから体罰をするまでにかかった時間は、わずか平均30秒だった。体罰を受けた児童の73%は、10分以内に親が問題視した行動を再び行った。多くの体罰が計画されたものではなく、親の衝動的で感情的な反応に過ぎず、効果もないということを確認したのだ。児童保護団体セーブ・ザ・チルドレンのコ・ウヒョンマネージャーは「懲戒権の削除で児童も成人と同じように叩いてはならないという社会的認識と法律的根拠を作らなければならない」と話した。 チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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