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公的年金の繰下げ受給はお得? 損益分岐点を考えてみる

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ファイナンシャルフィールド

今(2020年6月時点)からちょうど1年ほど前から「ねんきん定期便」のデザインが変わり、繰下げ受給が訴求されるようになりました。また、受給開始年齢が75歳まで拡大される改正が成立するなど、公的年金の繰下げが注目される傾向にあるようです。 繰下げの受給とは、公的年金の受け取り開始を遅らせることですが、年金を繰下げずにもらう人に追いつくのは何歳でしょうか? 今日は、公的年金の繰下げ受給の損益分岐点がテーマです。

公的年金の繰下げ受給のおさらい

公的年金は、65歳の誕生日の翌月に「年金を受け取る権利」が生じます。例えば、筆者は5月生まれですので、65歳の6月に「公的年金を受け取る権利」が生じることになります。 6月分の公的年金は7月分のそれと合わせて、原則として8月15日に受給します(手続きのタイミングなどで、後ろ倒しになることもあります)。公的年金は偶数月の15日に、前2カ月分を受け取ることができます。 例えば、65歳から受け取ることができる公的年金を、1年間受け取らずに66歳から受け取り始める、いわゆる繰下げ受給をするとします。 繰下げ受給は、繰下げ1カ月につき受給額が0.7%アップします。上記の例でいうと、66歳から繰下げ受給ですので、0.7%×12カ月=8.4%、つまり受給額が8.4%アップします。 繰下げ受給は1カ月単位で繰下げ受給ができるのですが、「65歳6カ月」という繰下げ受給はできません。66歳以後70歳までの間に、1カ月単位で繰下げ受給を始めることになります。 ちなみに、繰下げ受給ではなく、例えば65歳から66歳まで年金を受け取らずに、66歳の時に1年分の年金をまとめてもらうという選択もできます。これは単に1年分をまとめて受給しているだけですので、66歳以後の年金額がアップするということはありません。

繰下げ受給の損益分岐点という考え方

繰下げ受給を行うと、その増額は生涯変わることはありません。先述の例、66歳まで繰下げした場合、8.4%アップした受給額が終身で続くことになります。 8.4%アップすると聞くと、なんだかお得に聞こえてしまいますね。 銀行の定期預金の金利は0.01%で久しいですし、投資を行い1年間で8.4%のパフォーマンスを挙げるのも、なかなかに難しいですよね。それが公的年金は、1年待つだけで得ることできるパフォーマンスなのです。 ただし、66歳から繰下げ受給するということは、65歳から1年間、年金の受給額は「ゼロ」です。では、このゼロを繰下げ受給のアップで取り返すとしたら、どのくらいの時間で取り返すことができるものなのでしょうか? 1年で8.4%のアップ、10年たつと84%です(8.4%×10年間)。つまり、受け取り開始を1年遅らせたことによる「ゼロ」は、10年たっても取り返すことができないのです。 12年たって、8.4%×12年間=100.8%です。ようやく、65歳から年金を受給した場合の額とほぼ同じになります。そして、12年よりも長く受け取っていれば、つまり78歳よりも長生きすれば、繰下げ受給したほうが有利になるのです(繰下げ受給をした年齢66歳+12年間=78歳)。 繰下げ受給をして、実際に年金をもらい始めるまでの間の「年金ゼロ」の期間を取り返すことができる年齢のことを、筆者は『損益分岐点』と呼んでいます。 そして、損益分岐点を超えて年金を受け取り続ければ、「繰下げ受給をしたメリット」、すなわち「繰下げ受給による年金受給額アップ」のパフォーマンスを享受することができたといえるのです。

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