4歳で里親へ…実母の家に行った帰りに起きたこと つらい立場の子に届けたい「逃げていいし、逃げるべき」
4歳から里親の元で育った18歳の高校生は、「自分のことなのに周りの方が知っている」自分の人生に一つの区切りをつけようと、ある日、実母の家を訪ねました。そこで感じた気持ち、そして家に帰ったとき出迎えてくれた「家族」に感じた気持ちを、しろやぎさんが漫画にしました。虐待・ネグレクトを経験した高校生は「子どものSOSを離さないで」とメッセージを送ります。 【マンガはこちら】4歳で里親へ…実母の家に行った帰りに起きたこと SOS出せる環境
「お父さんとしてしか見られなくなった」出来事
【この企画は、インスタグラムやツイッターを中心に作品を発表している、イラストレーターのしろやぎ秋吾さん(@siroyagishugo)との共同企画です。「10代のときにしんどかったこと、どう乗り越えましたか?」とSNSでエピソードを募り、しろやぎさんがマンガ化したエピソードの中から記者が取材を進めています】 ◇ 高校生は関東地方に住む凪さん(仮名)です。 凪さんは4歳の頃から、養育里親の元で暮らしています。 今回、「この出来事で人生が変わった」と、実母を訪ねたときのエピソードを寄せてくれました。 【養育里親…養子縁組を目的とせずに、要保護児童を預かって養育する里親で、養育期間は原則18歳まで】 凪さんが里親の元で生活を始めたのは4歳の頃のことです。 「それより前のことはほとんど覚えていないのですが、カーテンが閉め切られた暗い部屋に、カップラーメンのにおいとか食べ物のにおいが充満していたことや、関節にホコリが入ってかゆかったことは覚えています」と、記憶をたどります。 凪さんが、自分が里子であることを知ったのは6歳の頃。 ある日、洗濯物をたたむ手伝いをしていたとき、お母さんから「実はね…」と凪さんが里子であると告げられたといいます。 そのときは「ふーん」と思うだけで特に感情が動くことはありませんでしたが、その後、成長するにつれ、いくつかのタイミングで、両親が里親であることを強く意識したといいます。 例えば、学校の課題で「どんな子どもだったか」を両親に聞くという課題が出たときや、容姿が気になりだした中学生時代。「顔のつくりが似ていない」両親に反発し、『この人たちは里親だ』と気持ちを切り離そうとしたこともありました」 しかし、中学3年生のとき、進路を巡りお父さんと口論になったときに、凪さんの気持ちに大きな変化がありました。 「私が強い言葉を使っても、お父さんは手を挙げないし、経済的にも私より有利な立ち場なのに、対等に接してくれました。私が幸せになるために怒ってくれて、『良い方向に向かうために怒ってくれてるんだ』と感じたんです」 「そこからはもう、お父さんとしてしか見られなくなりました」