《老後資産のための投資》始める前に“やめる年齢”を決めることが重要 65歳以降は再雇用と積立投資、70歳で積立停止、75歳で資金の取り崩し開始…年齢別の投資戦略
2024年1月にスタートした新NISAのブームに乗って投資を始めた人は多いが、「痛い目を見た」というケースも聞こえてくる。都内在住の60代男性が語る。
「退職金を新NISAの成長投資枠に年間上限額まで注ぎ込んで個別銘柄を買いました。ところが、8月の日経平均大暴落で株価が大幅に下がったため、不安になって損切りしました。30万円以上の損失が出てしまった」 その後に株価は回復したが、もう後の祭り。虎の子の老後資産を減らさないためには、慎重な投資先選びが欠かせない。ファイナンシャルプランナーの鴇巣雅一氏が語る。 「今はお金の価値が減るインフレの時代。貯金だけでは資産が目減りする可能性があるので、投資は選択肢のひとつではあります。投資初心者には複数の銘柄に分散して購入できる投資信託を推奨しています。 例えば株価指数などと連動するインデックスファンドは経済の成長とともに価値が上がり、10年間保有すれば購入した時より価値が下がることはなくなると言われます。個人的には『日経225』連動型のインデックスファンドに注目しています。人生の終盤で日本を応援するのもいいでしょう」
「投資はやめ時がある」
人生100年時代とはいえ、死ぬまで投資を続けても意味がない。ファイナンシャルプランナー(FP)の辻本由香氏は「投資はやめ時がある」と語る。 「将来不安もあって高齢になっても投資を続けてしまう人が多いのですが、お金は使うためにあります。ひとつの目安は後期高齢者となる75歳。この年齢になったら投資をやめて、取り崩す方向にシフトしたほうがいい。 具体的なライフプランとしては、65歳以降は債券や積立投資を続けながら再雇用などで働き、70歳で仕事をやめる際に積立を停止し、取り崩さず保有したまま運用を続ける。そして75歳になったら資金の取り崩しを始めるタームです」 金融庁も「現役期」に資産形成を始め、60代かから70代の「リタイヤ期前後」に運用を継続しつつ計画的な取り崩しを始め、80歳からの「高齢期」でさらに取り崩しを多くする資産形成・管理を推奨している。 「正しくやめる」ことが投資の成功を左右する。 ※週刊ポスト2025年1月3・10日号