遺された家族を困惑させないために 遺言書作成、デジタル終活の重要性
遺族が必要な情報を事前にまとめておくことも、秘密を守ることにつながる。
「家族が故人のスマホなどを調べるのは、サブスクの解除や友人への連絡など、死後に必要な情報を得るためであることが多い。エンディングノートなどに、契約しているサービスのURLや利用目的、IDとパスワードなど、解約してほしいものや遺産になりそうなものをまとめておくと、家族は必要以上にメールやアカウントをさかのぼるようなことはしません。“パスワードがわからないから”とメールを調べた結果、知りたくないことまで知ってしまうケースは少なくありません」
近年はこうしたデジタル遺品を死後に一括処理するサービスを行う業者も増えているが、実際に活用するのは難易度が高いという。
「専門家に死後の諸手続きを依頼する『死後事務委任契約』を生前に結んでおくことで、デジタル遺品の処理を依頼しようとする人もいますが、パソコンやスマホの『中身を見たい』『消去しないでほしい』と言われたら、断れるような法的拘束力はありません」(明石さん)
三上さんも業者へ託すことについては懐疑的だ。
「現状、デジタル遺品の処理を請け負う会社はすべて民間企業のため、亡くなるまでサービスが継続している保証はありません。いま契約しても20年後に会社がなくなっていることもあり得ない話ではありません。やはり見つけてほしくないものは、自分で処理するしかない。特に家族だからこそ、隠したいこともあるでしょう。それならば遺された人たちのためにも、隠し通すために努力すべきです」
秘密を持つなら、墓場まで。遺された人を悲しませないために、生きているうちから対策を。
※女性セブン2022年5月26日号