青森県産りんごを原料とするアップルブランデー〈モホドリ蒸溜研究所〉
コロカルニュース
■30年越しの夢 青森県の西北、五所川原市に〈モホドリ蒸溜研究所〉がオープンしました。蒸溜しているのは、青森県産りんごを原料とするアップルブランデー。JR五能線「五所川原」駅から徒歩約5分の市街地に、工場と直営店を構えます。 【写真で見る】アップルブランデー製品第1号となった〈LOVEVADOS BRANDY〉。樽で熟成させていないため、透明な仕上がり 運営する〈有限会社サンアップル醸造ジャパン〉は、代表の木村愼一さんが、2003年にアップルブランデーの製造販売を目的として設立した会社。約20年前に一度製造を試みましたが、醸造免許を取得できず、断念した事業でした。 愼一さんは、五所川原農林高校を卒業後、農業に携わり「大規模で、企業的で、給料をもらう農場」を夢見て、青森県の白神山地と岩木山の麓に1976年〈黄金崎農場〉を設立したメンバーのひとり。アップルブランデーには、1989年、農業研修に行ったドイツで出会い、その味に魅了され「自分でブランデーをつくりたい」という夢をもったのだと言います。 2003年の会社設立当時は、免許取得が叶わなかったため、その後農業に専念してきた愼一さんでしたが、2016年、偶然にも酒税課長との出会いがあり、当時より免許取得のハードルが下がっていることを知ります。「今ならできるのでは」と背中を押された愼一さんは、「もう一度チャレンジしたい」と地元の協力者と工場建設に向けて動き出します。2021年には念願の酒造免許を取得、30年越しの夢を実現させました。 ■りんごも、水も酵母も青森由来 使用するりんごは、弘前に構える自社農園のほか、近隣の農家からも仕入れ、品種を限定せずに混ぜ合わせています。アルコールを抽出すると、風味や香りが残らない品種もあるため、複数の品種を混ぜ合わせたほうがブランデーには適しているのだそう。 酵母は、複数種実験し、発酵のスピードや香りなどから白神山地で採取される〈白神酵母No.251〉を採用、割り水にも岩木山麓の湧水を使用するなど、品質を求めた結果、青森由来のものを原料に使用することになりました。 オープン1年目となる今年、販売している製品は、りんごを破砕機でマッシュ(すりおろし)の状態にし、発酵・蒸溜を終えた後、ステンレスタンクで熟成し瓶詰めを行ったもの。樽の色や風味がついていないため、透明ですが、今後は樽詰めをして熟成し、ブレンドをした製品も販売していく予定です。 「カルヴァドスは、フランスのノルマンディー地方で一定の条件に従ってつくられるもので、最低2年、樽で熟成させなくてはならない決まりがありますが、ここは日本なので、樽に入れて様子を見ながら、よければ早く出してもいいと思っています。まずはやってみよう、試してみようという気持ちで、おいしいポイントをこれから探っていきます」 ■ブランデーのおいしい飲み方 店舗はカフェにもなっていて、〈LOVEVADOS BRANDY〉を使用したオリジナルカクテルを飲むことができます。 カクテルのほか、オリジナルのりんごジュースや、青森市のスペシャルティコーヒー専門店〈COFFEEMAN good〉にお願いしたオリジナルブレンドコーヒーも販売しているので、お酒を飲まなくとも気軽に立ち寄ることができます。 りんごジュースは、市場にほとんど出回らない〈こうこう〉含め7品種をブレンドした人気商品。ジュースのためにつくるりんごは、冷凍せずに、収穫したものを絞りきってしまうため通年販売ができないのだそう。その分フレッシュな味わいを楽しめます。 山口さんに、家庭で〈LOVEVADOS BRANDY〉楽しむ方法も教えてもらいました。