重要でも評価されない仕事。見極めるには?
どんな仕事でも、さまざまな職務が求められます。 なかには、長期的に見てあなたの昇進に役立つものもあるかもしれませんが、まったくそうではないものもあるのです。 たとえば、あなたが教師なら、新しいカリキュラムの設計や実施は、昇進候補の列に並ぶのに役立つかもしれませんが、ボランティアとして課外活動に時間を割いても、そうはならない可能性が高いでしょう。 どちらの仕事も、学校の全体としての機能にとっては重要なものですが、あなた自身のキャリアに直接的な恩恵をもたらす可能性という点では差が……。 直接的な恩恵のない「行き止まり」の職務を、経済学者は「非昇進型職務(non-promotable task)」と呼んでいます。
重要だが、昇進にはつながらない
非昇進型職務は、たとえばパーティーの計画、メモとり、休憩室のコーヒーの補充のような「オフィス内の家事(雑用)」と似ていますね。 そうした仕事は、職場を円滑に機能させるためには重要なものですが、職場におけるあなたの長期的な成功には寄与しません。 「(非昇進型職務は)組織を助けるものの、その仕事をする個人の助けにはならない、組織内の仕事全般を指します」と語るのは、ピッツバーグ大学の経済学者で、『The No Club: Putting aStop to Women’s Dead-End Work(ノー・クラブ──女性の「行き止まりの」仕事に終止符を』の共著者でもあるLise Vesterlund氏です。 そうした仕事には、たとえば、たいした売上にはならない顧客の相手や、プレゼンテーションに磨きをかけるための裏方仕事、新人研修の手伝いなどが含まれます。
非昇進型職務は、女性に偏っている
これは研究でも示されていることですが、非昇進型職務をする人は、女性に偏っているのです。 「私たちが調べたどの組織でも、この手の仕事の多くを女性がこなしていました」とVesterlund氏は話しています。 調査対象になったある専門サービス会社では、女性が非昇進型職務に費やす時間は、男性の同僚に比べて200時間も多いことがわかりました。これは年間で見ると、1カ月以上の労働時間に相当します。 この種の仕事が女性に偏るのには、多くの理由があります。例としては、頻繁に頼まれる、断わったときに男性よりも厳しい目が向けられる、などが挙げられます。 「女性がこうした仕事をするのは、本質的に得意だからというわけではありません。また、本質的に男性よりもこうした仕事を楽しめるからでもありません。女性は、そうした仕事をするものだと期待されているからです」とVesterlund氏は述べます。 私たちが実施したある研究では、女性は男性に比べて、この手の仕事を50%近く多く頼まれていることがわかりました。 認識しておくべき重要な点は、これが世間に広く蔓延している問題であり、あらゆる職場で起きているということです。したがって、この問題の是正には、誰か1人の責任ではなく、組織全体の責任で取り組む必要があります。 組織レベルでは、こうした職務を平等に割り振る方法を見つけることや、あるいは、こうした職務を実施することが、その人の昇進判断の材料になるような人に割り当てる、といった方法が考えられます。 たとえば、会議の調整は、あなたが一般の教職員なら昇進の足がかりにはならないでしょうが、あなたが管理組織の一員であれば、昇進の足がかりになるかもしれません。 「組織全体で意識化してもらうことは、大きな効果につながる可能性があります」とVesterlund氏は話しています。