発達障害夫婦が語る子ども時代。苦手だったことが大人になって変化したことも
グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さん夫妻は、夫婦ともに発達障害という特性をもちながら結婚。今回は互いの子どもの頃について振り返り、お子さんの発達について悩む親御さんの気持ちになって語ってくれました。 幼少期の弥加さん<写真>
発達障害夫婦がお互いの子ども時代を振り返って
ときどき、保護者の方から夫にtwitterのダイレクトメールが届くことがあります。それは発達障害の子を持つ親御さんがほとんどで、ADHDの夫に寄せられる話は、やはり発達障害のことが多いようです。 多くの内容は、「うちの子は落ち着きがなくて、大人になってもこのままなのか不安」というもの。その相談を受けると、夫自身も自分の子ども時代と似ているなと感じるそうです。
●ADHDの夫の子ども時代
当時、多動だったという夫は、本を読んでも飽きてどこかへ飛んで行ったり、授業中でも立ち上がって走ったり、いきなり川に飛び込んだり、話し出すと止まらないこともありました。 その落ち着きのなさから、先生の横で授業を受けていたこともあったそうです。先生がやむを得ず教卓の隣に席を配置したとのことでした。 ただ、そんな夫を、先生も生徒も特別視していたわけではなく、自由にできていたようです。 そんな夫は大人になるにつれて、おとなしい雰囲気になりました。当時を振り返って、「自由に行動させてくれた学校だったから、今より生きづらさを感じなかった」と話してくれました。
●しゃべることが苦手だった妻
一方、私はまったくしゃべらず、あまり動かない子どもでした。どちらかというと喋るよりも書いて伝える方がずっと得意でした。 「なんで話さないの?」「お人形さんみたいだね」と言われても、なかなか言葉が出てきませんでした。 今となっては、もっと書いて伝えることをしてもよかったのかもしれないと思っています。 私も現在は講演会などで親御さんから話を伺うことがありますが、「うちの子は喋らないから、ツンとしている子だと思われて、先生に好かれていない」という話を聞くことが何度かありました。そういえば、私も幼少期は同じように思われていたようです。
●子どもにはそれぞれに得意な表現方法もあるはず
学校などで子どもが大勢いると、どうしても話が多い子の方に目がいきがちかもしれません。でも、ノートに書いて先生に伝える機会をつくってもらったり、ときには交換ノートができたりすれば、より多くの子がスムーズに気持ちを伝えられることが増えるかもしれませんね。 また、私は大人になり、逆に夫よりも話すようになりました。互いに子ども時代とはまったく違う雰囲気になりました。当事者の親御さんにとっては将来の心配はありますが、大人になった私たちだからこそ伝えられることもあると思っています。
西出弥加