子育て支援継続強調、「半島防災」強化に意気込み 知事就任2年インタビュー
今月に就任2年を迎えた和歌山県の岸本周平知事は、報道各社のインタビューに応じた。学校給食費無償化やこども食堂の開設、夜間中学の設置計画公表などを今年の県政の成果とする一方、能登半島地震を教訓とする「半島防災」や人口減に伴う産業衰退への対策など令和7年に向けた課題も述べた。 岸本知事は2年目について、「10月から公立小中学校で給食費無償化ができた。地域のコミュニティーづくりでもあるこども食堂も県内93カ所に増えた」と振り返った。こども食堂については「全小学校区236カ所で1校区1カ所の設置を進めたい」と述べ、子育て世代への支援の継続を強調した。11月に新宮・東牟婁地域での「県立夜間中学設置基本計画案」を公表したことにも触れ、「8年4月には開校したい」と話した。 7年に向けた抱負は、「2025大阪・関西万博を多くの小中学生に経験していただくため、交通費などを補助していく」と発言。万博を契機に注目されている空飛ぶクルマについては、万博後に県内に基地をつくるとの目標を掲げた。さらに移住定住促進や洋上風力発電推進などグリーントランスフォーメーション(GX)への投資推進も重視するとし、「県の新総合計画で(人口減少が進んだ)2040年を見据えた県の姿を示したい」と話した。 一方、1月の能登半島地震や8月に出された南海トラフ地震臨時情報を踏まえ、「来年2月には防災計画見直しの最終報告を出したい。応援受け入れ態勢や避難所の生活環境の改善が重要。トイレカー、キッチン機能付きコンテナの整備は年度内にスタートできるので、進めたい」と強調。能登半島と同様に「半島」ならではの交通の便の悪さなどのリスクを抱える紀伊半島の防災対策として、「まずはインフラ整備が必要。物資輸送はドローンを活用する。避難所や通信環境の改善は実行する段階に来ている」とした。 農林水産業の従事者減少に対しては、「農林大学校を充実させる。温暖化でも栽培できるミカンの研究もしている」と述べた。林道整備に当たっては「戦後に植林したスギやヒノキの切り出しが必要」とする一方、漁業では「漁獲資源が減っている」との課題を挙げた。 また、南紀白浜(熊野白浜リゾート)空港の滑走路を500メートル延ばして2500メートルにする計画に関して、「利用者増加を想定して羽田便の1便増加や国内外のチャーター便の増加、できれば国際線定期便の誘致も行いたい」と語った。