「叱る、嫌がる、癇癪、撤退」アナウンサー・赤平大さんと発達障害の息子の"前向きな日常”
「勇気ある撤退」は日常茶飯事 子どもと一緒に考える新しい作戦
どうすればいいのか?私は姿勢を"外側から"良くしてみようと考えました。道具を使うことで補正、矯正してくれる方法がないか、と。「何か、使えそうなものは……」ふと目についたのが物干し竿です。 机に向かう息子を挟んで左右両サイドに台を置いて、そこに物干し竿を乗せます。息子の両わきの下にちょうど物干し竿がくるくらいの高さに調整すれば、息子がもたれかかっても物干し竿が身体をちょうど良い位置にキープし、机に倒れ込むことを防げます。簡単に言えば"つっかえ棒"です。これを使えば息子の姿勢も良くなり、「ちゃんと座りなさい!」 と私が注意する回数も減って二次障害リスクも減る、はずです。この作戦内容を息子に説明して、やってみることにしました。ところが導入当初こそ上手くいくかに思えたものの、すぐに息子は嫌がるようになりました。 そして、どんどん息子の抵抗が強くなり、時には癇癪を起こすことも……。これは、発達障害支援で非常に効果があるとされる「応用行動分析学(ABA)」において、「望ましくない行動が強化」されてしまった状況になります。 本来は「望ましい行動(=姿勢が良くなる)」ことの「発生頻度が高まる(=強化)」を狙って"物干し竿"を使ったわけですが、実際にはこれまでとは別の「望ましくない行動(=癇癪)」が発生し強化されてしまいました。こうなると作戦は撤退です。私の作戦により、姿勢を良くする以外の弊害が発生している状況は決して良い状況ではありません。 このように勇気ある撤退は日常茶飯事です。中学生になった今も、息子の座る姿勢は悪いままです。姿勢が悪いことで、食事をこぼしやすかったり、字が汚くなってしまうことにも繋がっています。また新しい作戦を息子と考えて実践しようと、日々話し合っています。
赤平大