身長150センチ未満 チャイルドシート推奨 6歳以上も必要かも JAFが基準引き上げ 福島県
法律で定める年齢を超えてチャイルドシートを着用する動きが福島県内で出ている。日本自動車連盟(JAF)が9月、チャイルドシート使用を推奨する身長基準を引き上げたことが背景にある。JAFの目安は従来より10センチ高い「150センチ未満」となり、多くの小学生は着用が推奨される状況になった。JAFの担当者は「幼い命を守るため適切に使ってほしい」と呼びかけている。 ■成長に合わせ着用の動き 基準の引き上げは8月に福岡市で発生し、幼い2人の命が失われた交通事故がきっかけとなった。路線バスと軽乗用車が衝突し、軽乗用車に乗っていた7歳と5歳の姉妹が死亡した。2人はシートベルトを使っていたが、腹部の圧迫が原因で死亡したとされる。道交法は6歳未満の使用を義務付け、身長の規定はない。 石川町の会社役員岡部弘幸さん(41)は、遠出の際や高速道路の利用時に小学生の娘2人にチャイルドシートの一種で、より成長した子ども向けのジュニアシートを使わせるようになった。以前は年齢で着用の判断をしていた。「身長基準の方が安全を確保でき、引き上げも納得できる」と受け止める。福島市飯野町の会社役員林淳さん(43)は小学5年生の長男が身長140センチほどで、大人と同じくシートベルトのみを使用。身長約130センチで小学2年生の次男は座高を調整してジュニアシートを使っている。以前はチャイルドシートを2台持っていたが手放した。「運転に気を付けつつ、子どもの命を守るためシートの購入を検討する」と話した。
県の2022(令和4)年度の学校保健統計によると、県内の子どもの平均身長が150センチに達するのは男女とも11~12歳ごろ。JAFの新基準では小学校高学年ごろまでチャイルドシートが必要な子どもが少なくない。一方で大人は体格や骨格がしっかりとするため、身長が基準に満たない場合でも問題ないという。 新たな目安に困惑する声も上がる。8歳と5歳の子を育てるいわき市の男性(44)は「150センチ未満を基準とする根拠が分からない。今のところシートを用意する考えはない」と明かした。小学生の孫がいる猪苗代町の60代女性は自家用車にチャイルドシートを備えていない。孫を乗せるのは塾の送迎などのみで「購入は考えていない。安全運転を心がける」と話した。 警察庁とJAFが5月、全国の約1万3千人を対象に行った調査によると、6歳未満のチャイルドシート使用率は78・2%だった。年齢別では1歳未満が91・7%だったのに対し、5歳は57・9%。6歳以上の統計はないが、年齢が上がるにつれて着用率は低下する傾向にあるとみられる。