黙々と働くシュールな姿が話題 福岡市東区「正宗鶏西大冷麺」の麺作りロボット
コック帽をかぶって真っすぐ前を見据え、素早い手さばきで麺をカシャカシャとそぎ落としていくロボット――。福岡市東区にある中華料理の“働き者“が「クセが強すぎ」「シュール」などとSNSで話題です。本場の味を楽しめることでも人気の店を訪ねて、ロボットの正体を聞きました。 【写真】中国本場の味を楽しめる「正宗鶏西大冷麺」
国内でも数台だけ…
ロボットがあるのは、中国の東北部に位置する黒竜江省鶏西(けいせい)市出身の中山波夫さんが営む「正宗鶏西大冷麺」。店の自慢メニュー「刀削麺(とうしょうめん)」の麺を削るためのもので、中山さんによると「九州ではこの店が初めて。日本でも数台しかないのでは」といいます。 刀削麺は、山西省発祥の料理で、小麦粉で作った生地を専用の包丁で削ってゆであげます。ロシアに近く冬はかなり冷え込むという鶏西市では、山西省とは異なり、辛いスープとともに食べるのだそうです。 「刀削麺は、麺の真ん中が厚く、外側にいくにつれて薄くなります。それによって伸びにくく、もちもち感が長続きします」と中山さん。麺を削る作業はかつて人の手で行っていましたが、現在の中国ではロボットで行うのが一般的で、顔やデザインもたくさんの種類があるということです。
両親に“故郷“の料理を
中山さんは、中国残留孤児の父と中国人の母の間に生まれ、19歳だった1994年に家族で来日。自動車整備工場などで働きましたが、高齢になった両親に「地元の料理を食べさせてあげたい」と2015年、鶏西市に渡って本場の調理法を学びました。 2019年1月、福岡市に戻って自分の店をオープン。店内のロボットは開業に合わせて中国から輸入したもので、顔も中山さんの好みで選んだそうです。 物珍しさもあって、ロボットの写真をSNSにあげる人が相次ぎ、ちょっとした話題に。ラジオ番組の取材を受けた際、「日本と中国が仲良くなるように」と願い、このロボットに「友好(ゆうこ)」と命名したといいます。中山さんは「『友好』を見て、刀削麺の味にはまった人もいます。今では常連さんも増えました」と笑顔です。