発達障害がある夫との関係で、カサンドラ症候群に陥った私の心を軽くした「楽になれる考え方」5選
パートナーとの関係に疲れ切って心身を病む「カサンドラ症候群」に陥る人がいる。漫画家の野波ツナさんも、かつて発達障害の夫・アキラさんとうまくいかず、苦しみぬいた経験がある。そうした経験から彼女が学び取った「楽になれる考え方」を、『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』よりお贈りしたい。 【画像】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待「すべてが壊れた日」 前編記事〈「~しないで」でとんでもない誤解が…発達障害がある人に「否定文」で伝えてはいけない深いワケ〉はこちらから
「自分ファースト」へとシフトする
ここまでいろいろなノウハウを紹介してきましたが、「あの人」との関係に疲れ切ってしまった人は、どんな簡単なことも「できそうにない」気持ちになっていると思います。以前の私もそうでした。そんな人に、少しでも楽になってくれればという願いを込めて、せめてこれだけは聞いていただきたいことを最後に書きます。 ●「あの人」ファーストをやめて、自分ファーストへ アキラさんと同居していたとき、私は彼の不手際の後始末をしたり、あるいは先回りをして“予防”に努めたり、といったことをずっとしていました。今になって考えてみると、別に頼まれたわけでもないのに、いつの間にか「アキラさん中心」で動いていて、まるでお世話係のようになっていました。 そんなふうに「お世話」する必要なんて、本当はなかったんです。彼も大人なので、自分のことは自分でやってもらって、失敗してもそれは彼の失敗だし、そんなふうに考えて何もしなくてもよかったな、と今では思います。もちろん、アキラさんの失敗が私に波及することはありますが、そうなったら、そうなったときに考えればいい。「あの人」の面倒を見るのはやめて、自分の気持ちを大切にして、やりたいことをやって、自分を大切にしてください。
とにかく自分を癒す。「助言」は真に受けなくていい
●あなたを苦しくさせる外野の言葉は、ただの雑音 私は外野の言葉に振り回されてきました。たとえば、 「あなたがもっと、しっかりしなきゃ」 「ガミガミ言わないほうが、夫婦仲はうまくいくものだよ」 「旦那を手のひらで転がしなさい」 など、意見や助言をいろいろな人から言われました。でも、“善意”で発せられるそういった言葉は、私の気持ちを落ち込ませるばかりで、何の助けにもなりませんでした。 今になって考えると、人の言葉をすべて真に受けること自体が間違いだったんです。本当に親身になって考えてくれる人は、体調を気遣ってくれたり、何か気晴らしを提供してくれたりするものです。そういうことをしてくれる人の言葉にだけ耳を傾ければいいと思います。 ●ときには他人に助けを求める勇気を 外野の言葉をまともに受け止めることからくる悪影響は、他にもありました。いろいろな“助言”を浴び続けたため、私には「人に助けを求める」という発想がなくなりました。〈人に相談しても、責められるか、意見されるか、それだけだろう。だったら、もう何も言うまい〉と自分で抱えこむようになってしまったんです。 でも、抱え込み続けるのは苦しいことです。それに個人の力ではどうにもならない問題もたくさんあります。たとえば病気、借金問題などは、医師や弁護士なしでは解決できません。 私がカサンドラ状態だった頃は、相談できる場所に関する情報はとても希少でした。でも今は、「あの人」との関係に悩むパートナーが集う場もあるし、電話相談を受け付けてくれる機関もあります。身近な人ではなく、あえてプロに頼ってみるのもいいと思います。 ●自分を癒し、自分の楽しみを持とう 冒頭に書いた「自分ファースト」に近いところがありますが、何よりも大切にしてほしいのは、さんざん傷ついて疲れてしまった「自分」です。そんな自分を少しでも癒すために、何もかも忘れられる楽しい瞬間をつくれると気持ちが楽になります。 何が「癒し」になるかは人によっていろいろですが、〈こういうことしてるときは、本当に時間を忘れるな〉と感じられる楽しみを1つつくって、誰にも邪魔されずに没頭する時間を週に1日でも確保できていたら、昔の私ももっと楽に生きられたと思います。