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CY8ER「夢を叶えて解散します!」10年にわたるアイドル大河ドラマ――覆しようがないと思われた現実を覆した物語

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Billboard JAPAN

 世界を騒がすガチマジアイドルをコンセプトに活動する、完全セルフプロデュース東京系アイドルユニット・CY8ER(サイバー)。7月18日【伝えたいこと】と題した無観客ライブを配信し、2021年1月10日【CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館】にて解散することを発表した。 その他の画像 <CY8ER発起人・苺りなはむの生い立ち「いつか大きいステージで」>  CY8ERのことをよく知らない人の為に、まずその生い立ちについて記そう。このグループの発起人であり、メンバー兼プロデューサーでもある苺りなはむ。彼女は元々2011年にデビューした異端児アイドルグループ・BiS(1期)のオリジナルメンバーだった。しかし、電車の中に勝手に飾り付けをしたり、ストッキングをかぶってヘドバンしたりする、常軌を逸した活動に疑問を抱くようになる。そして、同年6月に「りなは“正統派のアイドルグループ”になるのが、すっごい昔からの夢だったんですよ。今やらないと出来ないんです。現実的なことを考えると、今すぐに行動しないと」との理由でBiS脱退。「絶対いつか大きいステージで会いましょう!」とメンバーやファンに告げて袂を分かった。 <りなはむの人生を大きく動かした【BiSなりの日本武道館】>  その後、りなはむは「渋谷と秋葉原を繋ぐアイドルグループを作りたい」とアキシブprojectを発足。新たなスタートを切るのだが、メンバーが次々と脱退してしまったり、結成から1年経ってもCDデビューが出来なかったり、代表メンバーでありながらステージに選抜されなかったりと大苦戦を強いられ、最終的に卒業することになってしまう。一方、彼女の古巣であるBiSはセンセーショナルな活動を畳み掛けながら、エイベックスからメジャーデビュー。目標として掲げていた会場でのライブも次々実現し、アイドル戦国時代の寵児としてブレイクを果たしていた。「日本武道館で解散する」という夢は諸事情により叶わなかったものの、その代案として、2014年7月8日【BiSなりの日本武道館】と題した解散ライブを横浜アリーナで開催。文字通り、伝説となってみせた。  なお、アキシブproject卒業直後のりなはむは【BiSなりの日本武道館】に元メンバーとしてゲスト出演。同じくBiSオリジナルメンバーのプー・ルイやヒラノノゾミ、ナカヤマユキコらと代表曲「nerve」をパフォーマンスし、この出来事がりなはむの人生を大きく動かすことになる。 <完全引退を懸けたミッション~夢を叶えることになるCY8ER結成>  2014年9月、秋葉原を中心にソロアイドルとして活動していた彼女は“完全引退”を懸けたミッションに挑戦。「2015年1月15日(いちごの日)までにCD5000枚売り切れなかったら芸能活動完全引退。ツイッターやブログ等も終了」と背水の陣を組む。「BiSを卒業してから自分のなりたいアイドルを追いかけてみたけど、正直全然上手くいかなくて……。大好きだったアイドルが一度大嫌いになりそうになって、一度本気で諦めてもうアイドルはしないって決めました。でもやっぱりりなはアイドル諦めたくないです。そして今度は自分の力で大きいステージに立ちたいなって思います。BiSが立てなかった武道館にりなはむが立ちたいです。りなの力で絶対に行きます」  ふたつのアイドルグループを離脱していたこともあり、当時のりなはむの人気は低迷。BiS時代の恩恵として「nerve」頼りのライブをしたり、でもそれがダサいとうことも理解しており、完全に追い込まれた状態であった。しかし、前述の涙ながらに語った想いに嘘はなく“完全引退”を懸けたミッションは成功。2015年6月には、苺りなはむ×にかもきゅによる“ゆめかわいい”テーマのユニット“BPM15Q”結成(CY8ERの前身ユニット)。2016年12月には、のちに彼女の夢を叶えることになるCY8ERが結成される。 <夢に賛同した者たちによる個性派集団・CY8ER>  CY8ERは、苺りなはむの夢に賛同した者たちによる個性派集団である。最初のメンバーは、小犬丸ぽち。その名の通り、小犬のように幼顔のキュートなビジュアルとキャラクターを持ちながら、POCHI名義でDJ活動もしており(かの【JAPAN EXPO】でプレイした経歴も!)、CY8ERとの音楽的親和性が高いメンバーでもある。2017年1月加入の第3のメンバーは、ましろ。以前はDEEP GIRLというアイドルグループでヘヴィなメッセージを歌唱していたが、CY8ERではそのセクシーなビジュアルとミステリアスなキャラクター、SHACHI名義でラッパーとしての才能を海外からも評価されるなど、唯一無二の存在感を放っている。  2017年5月に加入した病夢やみいは、その名の通りの内気で闇を抱いているイメージもあるものの、その身のタトゥーに裏打ちされたロックな精神性はパフォーマンスにも表れており、でも話してみると奥ゆかしい可愛らしさも持ち合わせているメンバーで、そのギャップのファンも多い。そんな彼女と同タイミングで加入した藤城アンナは、過激なパフォーマンスで一世風靡したBELLRING少女ハートの元メンバーでありながら、りなはむ同様に自身の理想のアイドル像を追い求め、CY8ERに辿り着いた苦労人。しかし、モデル級のビジュアルと相反して、歯に衣着せぬ愛らしいキャラクターの持ち主でもあり、グループのムードメイカー的な側面も。  そんな誰一人として属性の被っていない、しかしながら同じ志を持ったアイドルの集合体・CY8ER。「限られた時間の中で夢を叶えて解散する」というコンセプトのもと、その夢を一緒に叶えたいと集まった戦友たち。りなはむの言葉を借りれば「大人たちの事情」に巻き込まれず、自分たちで運営からプロデュース、制作まで行う前代未聞のアイドルグループが、いくつもの挑戦と挫折と復活の果てに前代未聞の伝説を今刻もうとしている。 <覆しようがないと思われた現実を覆した夜>  新型コロナの影響でライブ活動を制限され、危機的状況に陥っているアイドルグループも少なくなく、かつてのように夢や目標に向かって懸命にひた走ることが難しくなった2020年。その覆しようがないと思われた現実を今夏、あらゆる固定概念を振り払う形でCY8ERは覆してみせた。  2020年7月18日【伝えたいこと】。事前告知されていた無観客配信ライブの開演時刻22時を迎えると、画面にはカウントダウンのアニメーションが映し出され、YouTubeのコメント欄にも緊張が走る。そんな我々の眼前に飛び込んできた映像は、音楽室の黒板の前で歌い始める苺りなはむと小犬丸ぽち。あたりまえのようにライブ会場からの中継と思い込んでいたファンたちは「どういうこと?」「なんで2人?」と驚きの声を上げる。やがて2人は手を繋いで音楽室を出て廊下を歩き出した。「今日のライブ会場は学校?」「なにこれどうなるの?」「他のメンバーはどうして出てこないの?」と、たくさんのクエスチョンが溢れ返る。  ライブが3曲目に突入すると、幻想的なイルミネーションの中に3人目のメンバー・ましろが飛び込んでくる。そして、4曲目で病夢やみいと藤城アンナの2人が登場し、満を持してCY8ER全メンバーが集結。その後も彼女たちは衣装を早着替えしながら、広い校内のあらゆるスペースをライブ会場にしながら、すさまじい光とエフェクトの演出も交えながら、これまでCY8ERと共に夢を叶える為の物語を彩ってきた歴代ナンバーをノンストップでお届けしていく。  しかもこの模様をお届けするカメラはたったのひとつ。近年『1917』や『アイスと雨音』など全編ワンカメ&ワンカットで話題となった映画はあるが、激しく5人のメンバーがロケーションを変えながら歌い踊る姿を全編ワンカメ&ワンカットで追い続ける無観客配信ライブなど前代未聞。観客を会場に集めてライブができない、それゆえの妥協案としての無観客配信ライブではなく「無観客配信ライブだからこそ実現可能なクリエイティヴを」という発想。困難な状況を逆手に取り、誰も挑戦していないモノを打ちださんとするソレは、クオリティ的にも完全に幾多数多の同業者を出し抜く内容だった。  メンバーの5人はもちろん、この日のVJ及び体育館・多目的室の照明演出を担当したhuez、彼女たちが大きなステージに立つ姿を夢見て振付を考えたRikako等々、そうしたクリエイターたちも含めたTEAM CY8ERの愛と情熱とセンスの結晶は、活動を制限されて鬱屈としている音楽シーンやエンタメシーン、多くの表現者たちに今後大きな影響を与えていくことだろう。「何を大袈裟な」と思った読者がもしいたら、ぜひアーカイヴとしてYouTubeに保存されているこの映像をご覧頂きたい(CY8ER「伝えたいこと」)。 <CY8ER、約束の地で解散! 最高のエンドロールを迎える約束>  そんな【伝えたいこと】のクライマックス。体育館が激しくも美しいレーザービームに埋め尽くされた「さよならフラッシュバック」のパフォーマンスを終えると、苺りなはむが口を開く。  「CY8ERが伝えたいこと。CY8ERはぽちちゃんが「りなちゃんの叶えたい夢を一緒に叶えるよ」って言ってくれたことがきっかけで、ぽちちゃんと2人で始まったグループです。そして“限られた時間の中で夢を叶えて解散するユニット”というコンセプトのもと、私の夢を一緒に叶えたいと言ってくれた今のメンバーが集まりました。このコンセプトがあったからこそ集まれた5人のメンバーで、ここまで一緒にCY8ERとして活動を続けてくることができました。  ……私たちCY8ERは今までずっと、自分たちにとって思い入れのある箱、そしてメンバーとファンの皆さんと約束した夢のステージをワンマンライブの会場として、今まで一つ一つ叶えてきました。でも、実はまだ叶えていない場所が1つだけあります。それは、このメンバーで初めて、いちばん最初にファンの皆さんに「いつかここでワンマンライブを」と約束した箱であり、2014年に自分が「いつか絶対、BiSが立てなかったあの場所へ」と宣言をしたあの場所です!  私たちCY8ERは! 2021年1月10日【CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館】で夢を叶えて解散します! 私たちCY8ERと今まで関わってくれたすべての! すべてのみんなとこの日【CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館】で最高のエンドロールを迎えることを今日ここでみんなと約束したいと思います!」  アイドルシーンの隆盛から約10年。この10年は、数多のアイドルが夢を見ては消えていった歴史でもある。その現実に心を痛めた者たちも決して少なくないだろう。でも、時折、心の底から「生きていてよかった」「アイドルを好きでよかった」とメンバーもスタッフもファンもそこに居合わせたすべての人が思える瞬間がある。そんな映画のようなハッピーエンドだってある世界なのだ。  2021年1月10日【CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館】。苺りなはむ、小犬丸ぽち、ましろ、病夢やみい、藤城アンナの5人が一代絵巻の果てにソレを証明する瞬間。ぜひ見届けてほしい。 取材&テキスト:平賀哲雄 ◎ツアー【CY8ER FINAL TOUR -正夢-】 2020年08月02日(日)東京 TSUTAYA O-WEST 2020年08月22日(土)北海道 cube garden 2020年09月06日(日)宮城 SENDAI CLUB JUNK BOX 2020年09月13日(日)石川 Kanazawa AZ 2020年10月10日(土)沖縄 Cyber-Box 2020年10月24日(土)茨城 club SONIC mito 2020年11月03日(火・祝)大阪 OSAKA MUSE 2020年11月07日(土)京都 KYOTO MUSE 2020年11月21日(土)栃木 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4) 2020年11月23日(月・祝)神奈川 F.A.D YOKOHAMA ◎解散ライブ【CY8ERなりの横浜アリーナ】 2021年01月10日(日)東京 日本武道館

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