“維新の会”衆院選予定候補者陣営の「スパイ行為」発覚は氷山の一角か?…元議員秘書の弁護士が語る「実態」と今すぐとるべき「対抗手段」
スパイ行為への「予防策」「対抗策」は?
では、スパイ行為を事前に予防、あるいは対抗するために、どのような方法が考えられるだろうか。 三葛弁護士は、まず最低限、ボランティア等として応募してきた人に対する身分の確認を厳重にするべきだと指摘する。 三葛弁護士:「第一に、身分証を提示してもらいます。身分証はその場で2つ提示してもらうことが有効です。 中には、『ハンドルネーム』やペンネーム等を名乗るのみで身分を隠して協力したがる人がいます。そういう人は、きっぱり断るべきでしょう。なお、もし身分証を偽造すると、公文書偽造罪(刑法155条1項)や有印私文書偽造罪(同159条1項)に該当する可能性があります。 第二に、携帯電話の番号を聞いておくのも有効です。究極の場合、個人を特定するツールとなります。これに対し、LINEなどのアカウントはすぐ消すことができてしまいます。 選挙運動では『仲間』を信頼することが大切です。 最低限、身元をはっきりさせることによって、選対内部での信頼を形成するための土台を作っておくことが大切です」 そこまでしても、たとえば、表面上は敵対陣営とまったく関係ないように見える潜入者を排除するのは難しいかもしれない。どうすればいいのか。 三葛弁護士:「きわめて重要な事項については、情報を共有する幹部の範囲を限定しておくことが大切です」 10月27日に投開票が行われる衆議院議員総選挙の「事実上の選挙戦」はすでに始まっている。三葛弁護士が指摘するように、政治が「熾烈な権力闘争」であることは間違いない。 外部にあらわれない、陣営間の暗闘が繰り広げられている可能性もある。昨今問題となっている「裏金」の問題が氷山の一角にすぎないことは容易に想像がつく。 だからこそ、私たち有権者は、各候補者の公約や街頭演説、討論会での発言内容のみならず、外部から判断できるあらゆる面に対し、厳しい目を注がなければならない。 過去の実績、公約の履行状況、金銭的なクリーンさなどの属性や、選挙運動を通じての候補者本人とスタッフの振る舞いなども判断基準にしながら、投票行動を決めなければならないだろう。
弁護士JP編集部