“維新の会”衆院選予定候補者陣営の「スパイ行為」発覚は氷山の一角か?…元議員秘書の弁護士が語る「実態」と今すぐとるべき「対抗手段」
敵対陣営だけでなく「選挙違反摘発目的」で捜査官の“潜入”も
敵対陣営の「スパイ行為」だけでなく、捜査機関側が捜査のために潜入するケースもあるという。 三葛弁護士:「もうかなり昔のことですが、ある選挙で、捜査機関側の人間が選対のボランティアスタッフを装って事務所に出入りしていたことが、事後になって判明した事例があります。 選対のごく一部の人しか知り得ない情報が、警察に筒抜けになっていたそうです。 一般に、警察は、重大な違法行為の摘発のために捜査官を潜入させることがあります。特に、選挙戦で劣勢に立たされているか、当落線上にあるとみられる候補者の陣営が『焦って選挙違反を犯す可能性が非常に高い』ということで、ターゲットとされる可能性は想定されます。 前述の件では、たとえば、ボランティアスタッフ等への金銭の支払いの有無(買収にあたる)など、内情を探ろうとしたのかもしれません」
敵対陣営のスパイに対する「法的措置」は実効性が乏しい
敵対陣営のスパイ行為に対して、なんらかの法的措置をとることができるのだろうか。 三葛弁護士は、法的措置として刑法犯や公職選挙法違反の罪での刑事告訴が考えられるものの、実際にはあまり有効でないと述べる。 三葛弁護士:「まず、刑法犯については、最も深刻な『情報窃盗』は刑法で処罰されません。情報自体は窃盗罪(刑法235条)の対象となる『財物』にあたらないからです。 判例では、事務所内の紙にプリントアウトして持ち出す行為については『価値の高い情報が化体した紙』が『財物』にあたるとして窃盗罪の成立を認めています。しかし、自分のSDカード等に情報をコピーして持ち出す行為や、メールで外部に送信したりする行為は窃盗罪では処罰できないのです。 刑法犯として告訴することができるのはのは、せいぜい建造物侵入罪(刑法130条前段)くらいです。産業スパイ等に対処する『不正競争防止法』の適用も考えられません。 また、公職選挙法違反の罪で告訴しようにも、警察は選挙期間中は『選挙への介入』になるのをおそれ、きわめて慎重です。選挙後になって摘発が行われ、裁判の結果として犯人が有罪となっても、組織ぐるみであればともかく、実効性が乏しいのです」