ストロング系チューハイに薬物依存研究の第一人者がもの申す 「違法薬物でもこんなに乱れることはありません」
酒は酒らしい味であるべき
アルコール依存症になると、どんな上品な酒飲みも、最後に飲むものは、昔は「俺とお前と大五郎」(アルコール純度が高く、価格が低い甲類焼酎)だったんですよ。 ーーそうですよね。 今は大五郎ではなく、ストロング系になったわけです。みんな酔うために、体の中にエチルアルコールを補うために飲んでいる。 ーー大五郎も大五郎で問題は起きていたのでは? あれも、醸造アルコールのようなものですから問題はありましたが、口当たりはよくないから子どもは飲めませんよね。10代のリストカットをしている子が「大五郎飲んでます」なんて聞いたことがないです。 ーー若い子はかっこよくは感じないでしょうね。 ところが、ストロング系が出てくると、お酒の味が苦手な人たちでも飲めるようになりました。コマーシャルも魅力的にしています。 僕自身もちょっと飲んでみたことがあるのですが、僕に言わせれば、薬品のエチルアルコールに炭酸と合成甘味料を合体させただけのようなものの気がしました。これを酒と呼ぶなんて、酒に失礼という気もしたんです。
350ml缶を1本飲んだら日本酒1合 500ml1本でも1合半
ーー昔の酔いたい人が飲んでいたのは、大五郎だったりワンカップ酒で今はストロング系に流れている。大五郎やワンカップとの違いは何でしょう? 大五郎やワンカップは、要するに、行き着いてしまった人が飲むものでした。 ストロング系は、行き着いた人も飲むけれども、お酒の入り口にある人も飲むというところが問題なのです。 アルコール人口を増やすことに貢献していると思うんですよ。
ーー若者は特に飲まなくなりましたが、飲酒量は全体的に下がっていますよね。
最近、ビールの売れ行きも下がっていると言われるけれど、日本人のエチルアルコールの消費量は変わっていない気がするんです。若い人がお酒を飲んでいないにしても。
9%の350ml缶を1本飲んだら、日本酒換算にして1合です。純アルコールにして25.2グラムになります。 500ml缶なら1本で36グラム。2本飲めば72グラムで日本酒3合を超えます。厚生労働省が定義する「多量飲酒者」(1日平均純アルコール60gを超える飲酒)ですよね。 それはつまり、将来、様々な健康被害を約束されている人ということになります。