「やれない自分」は思い込み、「すぐやる人」に変身できるコツ
● レビュー 「やろうと思っていたのに、面倒になってしまった」「わかっているのにできない」――多くの人が経験し、悩んでいることではないだろうか。そんな「やれない人」がやってしまいがちなのは、自分を責めることである。ダメな自分を責め、自己嫌悪でますます行動できなくなるという負のループに陥ってしまう。 【この記事の画像を見る】 本書『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』はその思い込みを一蹴する。やれないのは意志が弱いからではなく、やれる人になるための「習慣」を知らないからだと。 ケンブリッジ大学院で心理学を専攻し、帰国後は教育分野で大活躍する著者も、以前は劣等感いっぱいの「やれない人」であったという。しかし、「結果を出す人と結果が出せない人は、何が違うのか」を考えた末、あることに気がついた。それは、成功している人は「行動が早い」ということである。最初の一歩をいかに早く踏み出すかが、鍵を握っているのだ。 スタートダッシュには「環境」が大きく作用している。行動を起こすためには、自分の意志や感情だけではなく、環境=仕組みが大事だという。それがルーティン(習慣)となれば、あとは自然に「すぐやる人」になっていくだろう。 「やれない人」を自負する方は、まずは本書を手にとってほしい。そしてすぐにページを1枚めくってみよう。これでスタートダッシュは完了、もうあなたは「すぐやる人」である。「すぐやる人」への道は決して険しいものではない。本書を読めば、それがおわかりいただけるだろう。(矢羽野晶子)
● 本書の要点 (1)「すぐやる人」は自分をラクに動かす方法を知っている。自分を無理に動かそうとするのではなく、自然と行動できるような習慣を身につけよう。 (2)「やりたい!」と思った瞬間がモチベーションのピークだ。モチベーションの鮮度を保つためには、まず小さく行動してみるのが効果的だ。 (3)アポを取るには、相手に日程の候補を三択で提示するとよい。多すぎず少なすぎない選択肢を出すことで、相手のアクションを促せる。 ● 要約本文 ◆思考 ◇自分をラクに動かす仕組み 誰しも、面倒なことはできるだけ避けてラクをしたいものだ。一方で、私たちは向上心も持ち合わせている。素敵な自分でいたい。もっと稼ぎたい。おいしいものが食べたい……。 いつの時代も成功の鍵は行動である。アクションを起こさずして、よりよい人生を手に入れることはできない。ラクをしたい自分とより良い生活を手に入れたい自分という、矛盾するような状況を両立させるためには、どのようにして自分を操り、アクションさせるのかを考える必要がある。 では、「すぐやる人」は、いかに自分を操っているか。「すぐやる人」は、自分を無理に動かそうとしない。ラクに自分を動かせる術を心得ているのだ。 逆に「やれない人」は、自分を無理に動かそうとして失敗する。ダイエットしようと思うのに先延ばしを続ける。余裕を持って仕事を終わらせようとしたけど、結局ギリギリになってしまった……こうした失敗を繰り返すことで、「自分はダメな人間だ」という思い込みが刷り込まれていく。そしてますます行動できなくなるという悪循環に陥ってしまっている。 まずは自分を動かす勝ちパターンを見つけて、自分を自然と行動させるような習慣を身につけよう。 ◇「やりたい!」と思った瞬間に行動する モチベーションには「鮮度」がある。鮮度が最も高いのは「やりたい!」と思った瞬間だ。書店で参考書を買って帰ったが、「明日から始めよう」と開かずにおき、いつの間にか本棚の奥にしまい込まれていたという経験はないだろうか。これは「やれない人」の典型的な行動である。明日も高いモチベーションを維持できると思い込み、明日やればいいと自分を納得させているのだ。