“ロストボール”がおススメできない理由 中古好きギアマニアもボールは新品
見た目は新品と変わらないほど状態が良さそうなロストボールも、実際にはどうやって売り場にたどり着いてきたかが分からない。販売前にきれいに洗浄され、コーディングが施されることもあり、いつ、どこで集められたのかが不明だ。つい数週間前に林で発見されたものかもしれないし、数年間、沈んでいた池の中から引き揚げられたものかもしれない。表面をキレイにしても性能の劣化は補えない。ミスショットに見えた一打が、実は古いボールのせいかも知れないのだ。
新品とロストボールの価格差が小さくなっている
そもそも、筆者がゴルフを始めた35年前はボールがなにせ高価だった。最も高級だったダンロップの糸巻きバラタボール「ロイヤルマックスフライ」は1つ800円。1ダースで2000円を切る新品ボールなど存在せず、初心者はロストボールを買うしかなかったのだ。 しかし最近では信頼できる大手メーカーが安価な新品ボールを多数販売しており、低価格のボールでも品質がかなり向上している。個体差が非常に少なく、安定して性能を発揮してくれるだろう。グリーン上でのスピンの効き具合は高価格帯のツアーボールが一枚上手と言えるが、最長飛距離は値段でそれほど変わらないと筆者は考えている。ロングショットを考えれば、スピンが多くかかることは曲がることにも繋がるので、一般アマチュアにとっては一概に安価なボールが悪いとは言い切れない。
さて、いつもの本コーナーでは中古ギアを取り上げるが、今回は上記の理由から低価格帯の新品ボールに注目する。ビキナーや100切りを目指す方なら、ブリヂストン「ツアーステージ エクストラ ディスタンス」(2014)、タイトリスト「TRUFEEL(トゥルーフィール)」(2024)、本間ゴルフ「D1」(2024)を推薦したい。
100切りを達成し、90台を安定して出したい、いずれはシングルを目指すというのであればアプローチのスピン性能にもこだわろう。安価でオススメなのが本間ゴルフ「D1 SPIN」(2023)、テーラーメイド「ツアーレスポンス」(2022)、ダンロップ「スリクソン TRI-STAR」(2024)の3つ。もちろん、ツアーボールと呼ばれるプロ仕様、各メーカーの主力品ボールも候補に入れたい。値段を気にするなら、モデルチェンジ直後に価格改正されたマークダウン品を狙うといい。 ボールは同じ製品を使い続けることで、ショートゲームの距離感が養われる。いくつか試して「コレ」と決めたら、ある程度の期間は別のモデルに替えずにいたい。想定外に飛んでしまったり、飛ばなかったりする突発事故が減る。
ロストボールは確かに新品に比べれば安いが、“ロシアンルーレット”のような危険性を持つ。想定外のプレーを減らすこともスコアメークの基本。安全運転で行こう。(文・田島基晴)