“ロストボール”がおススメできない理由 中古好きギアマニアもボールは新品
ゴルフショップにあるロストボールは、中古ギアの元祖といえる存在だ。最近ではゴルフ場近隣のコンビニでも見かけるほど。しかし正直なところ、筆者はひとりのギアマニアとして普段使いをあまりオススメできない。その理由がいくつかあるのだ。 【画像】素振りで木の葉が数枚パラパラ落ちた。これって罰がつく?/ルールQ&A
糸巻きボールって知ってる? ゴルフボールのプチ歴史探訪
ゴルフボールは時の流れとともに進化してきた。あまりに古い話は置いておいて、40年ほどさかのぼってみよう。1990年代、ツアープロをはじめとする競技ゴルファーはバラタカバーの糸巻きボールを愛用し、一般アマチュアはソリッドボール(ツーピースボール)を使うという、二分された時代があった。 ゴム製の袋に液体を注入した芯に、細い糸を巻き付けた糸巻きボールは、バラタという天然ゴム素材をカバーにした。軟らかいフィーリングに加え、スピンをかけやすく球筋を操りやすいのが特徴。一方で傷がつきやすいことが欠点だった。ウェッジでトップしようものなら、パックリ割れてもう使えない。上級者でなければ、飛ばない、曲がる、すぐ消耗するといった具合だった。
それゆえ、飛距離やスピン性能で劣っても、耐久性のあるソリッドボールは“アマチュア用”のモノと言えた。しかし、ニック・プライス(ジンバブエ)や尾崎将司がブリヂストンの「レイグランデWF432」というソリッドボールを使って大活躍したことで変化が訪れる。さらに2000年、タイガー・ウッズがナイキの「ツアーアキュラシーTW」というウレタンカバーの3ピースボールを使ったのが決定打になった。糸巻きボールで圧倒的シェアを誇っていたタイトリストが、ソリッドボール「プロV1」を発表。糸巻きボールは姿を消していった。
ロストボールはそれぞれの“過去”が不明
ソリッドボールの進化は目覚ましく、耐久性の高い今どきのボールならば中古品、つまりロストボールを使っても、一見問題はなさそう。しかし、「プレーするからには良いスコアで回りたい」という上昇志向が少しでもあるゴルファーには、やはりおススメできない。 ゴルフボールは長い時間、水に浸しておくと、吸収した水分の影響で飛距離が落ちることが確認されている。保管状況が悪ければ劣化スピードが速くなる“生モノ”のようでもある。