ロエベ、マルニetc. 一枚で涼しく! 夏ワンピース3選【川野芽生さんの短歌にのせて】
じりじりと照りつける陽の光を受けて鮮やかに映えるドレス。到着したばかりのプレフォールのルックから想像の翼を広げて歌人・作家の川野芽生さんが短歌を詠む 【写真】全8種のワンピーススタイルを見る
ロエベ
軽やかなソフトコットンポプリンのドレスは潔いまでのホワイト。二着のドレスをレイヤードしたように見えるトロンプルイユのデザインや、縦に長く誇張されたビブで、夏の定番にロエベらしいアーティな遊び心を加えた。スカート部分にはたっぷりとドレープをきかせて大胆なボリュームを実現。 火には火を 純白に身を鎧よろふとき天より偸ぬすむ焔ほのほと思へ 「真夏の太陽に対抗する、ドレスの白のまぶしさという苛烈な世界の戦いを描いてみました。襟つきのひざ下丈のワンピースはしばしば清純さの象徴のようにも見られますが、私はむしろ鮮烈な強さを見出したい。白だからこその激しさを。この人は太陽光を受けて反射しているだけでなく、プロメテウスのように天から火を盗んで、自ら炎となってぶつかっていく。それが、"鎧う"という動詞につながっています。炎天との戦いは葉月のドレスというコンセプトを考えるなかでひとつの共通するテーマとなりました」(川野さん)
マルニ
温暖化に伴い、求められる生地の主流が薄手になるなか、マルニのプレフォールではこのドレスのようなコットンポプリンなど軽やかな素材に、花柄、ストライプ、幾何学模様といったブランドらしいプリントをのせて提案している。チャコールペンシルで手描きしたような花柄がノスタルジーを喚起する。 足跡を読み解きながらゆく砂の上、コットンが風に騒立さわだつ 「ドレスの柄から連想して作った歌です。今シーズンのMARNIを象徴する手描きの花模様のドレスですが、じっと見つめていると砂浜の上の足跡のようにも見えてくる不思議な柄だなと感じたんです。さらに想像を膨らませていくと、このドレスを着た人物の後ろ姿が映し出され、強めの風にはたはたとゆれる裾からのびたその人の足の運びが、砂地にこの柄をまた作りだしていく、二重の入れ子のような構造が思い浮かびました。」(川野さん)