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「5Gが新型コロナ拡散」陰謀論 5G基地局の襲撃が世界に飛び火し、デマ投稿が止まらない理由

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ITmedia NEWS

 「5Gの電波が新型コロナウイルスを拡散させている」――。根拠なくそう主張する陰謀説が出回って、基地局が襲撃される事件が世界各国で後を絶たない。業界や保健当局はデマの打ち消しに躍起だが、陰謀説を信じる人は一定数存在している様子で、米国土安全保障省なども警戒を呼び掛けた。 WHOによる警告  5Gの健康への影響を懸念する声は以前からあり、各国で反対運動も起きていた。そこへ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が出現したことで不安に火が付き、便乗する形で陰謀説が広まったらしい。報道によると、英国やオランダなどでは4月ごろにかけ、基地局が放火される被害が多発。5Gとは無関係な施設が狙われたり、電話会社の従業員が脅迫されたりする事件も起きた。  米紙Washington Postによれば、事態を受けて米国土安全保障省も通信会社や捜査当局に対し、基地局の襲撃を防ぐために監視などの対策強化を促す方針。米国でもこの数週間に、陰謀説が原因と思われる散発的な襲撃が発生しているという。  陰謀説を唱える投稿や動画は消されても消されても、SNSやYouTubeで次々に浮上する。ABCニュースによると、4月には5G基地局の襲撃を扇動する投稿がFacebookで出回り、破壊方法を紹介する動画まで掲載された。  米国土安全保障省のサイバーセキュリティ機関CISAは、新型コロナウイルス関連のデマに関する注意情報の中で、「5G技術が免疫システムを抑制し、5Gの電波がウイルスを拡散させるという誤った虚報キャンペーンが展開されている」として注意を促している。  世界保健機関(WHO)も5G陰謀説に言及し、「ウイルスが電波や携帯電話ネットワークに乗って移動することはできない。COVID-19は5Gモバイルネットワークがない多くの国でも拡散している」と強調した。  それでもデマ投稿は止まらない様子だ。5月に入っても、「5G機器に『COV-19』の文字が刻まれていた」というまことしやかな動画が出回った。動画はマスクとヘルメットを着けた男性が基地局の前に立ち、手に持った回路基板に「COV-19」の文字が刻まれていると主張する内容だった。  しかし事実検証サイトのSnopesによれば、男性が持っていた回路基板は実は古いテレビのセットトップボックスのもので、COV-19の文字も偽装だった。この回路基板を製造した台湾のメーカーHannstarは、5G機器は製造していないという。  誰が何の目的でこうした動画を作って流しているのかは不明だが、扇動に乗った基地局の襲撃は、オーストラリアやニュージーランドにも飛び火している。  世論調査機関のEssentialがオーストラリアで実施した意識調査によれば、「5Gが新型コロナウイルスの拡散に利用されている」という説を信じる人は12%に上る。さらに、「(Microsoft創業者の)ビル・ゲイツ氏が新型コロナウイルスの作成と拡散に関与した」という説を信じる人が13%も存在していることが分かった。  ゲイツ氏がやり玉に挙げられたのは、やはりネット上に出回った陰謀説が関係している。BuzzFeedによれば、オーストラリアではロックダウンに反対するFacebookのグループが多数の支持を集め、この中でゲイツ氏に対しても頻繁に矛先が向けられていた。新型コロナウイルス関連の抗議デモでは「ビル・ゲイツを逮捕しろ」と叫ぶ参加者もいたという。  ちなみにゲイツ氏は今、主に慈善家として活動していて、ゲイツ夫妻の慈善財団は新型コロナ対策にも多額の寄付を表明している。  それでも事実の裏付けのない陰謀説が止まらない理由について、専門家はABCの記事の中で、「一部の人たちは新型コロナウイルスで激変した状況をめぐり、同じくらい劇的な説明を求める。陰謀説がアピールする核心はそこにある。偶然の一致を利用して複雑な話を単純化し、特定の人や物をやり玉に挙げている」と分析している。

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