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ディオールのマリア・グラツィア・キウリが綴るミラノからの手紙。

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VOGUE JAPAN

新型コロナウイルスのパンデミックは世界中の人々の生活を一変させた。だが、ファッション業界はこの不確実性の中にあっても希望を捨てず、最善の答えを見つけ出そうとしている。ディオール(DIOR)のアーティスティック ディレクター、マリア・グラツィア・キウリもその一人だ。現在ミラノの自宅で仕事をしているキウリが、未来に対する考えを寄稿してくれた。

私は今、ローマの自宅でこのメッセージを書いています。家族の近くにいられるように、3月末から仕事の拠点を自宅に移しました。母国イタリアにとって前例のない恐怖が社会を覆っていますが、同時に、イタリア人であることを誇りに思う気持ちは一層強くなっています。 この新型コロナウイルスによる危機の中で、我が国の医師や看護師が献身的に治療にあたる姿を目にするたびに、謙虚な気持ちにさせられます。医療関係者の皆さんには、心の底から感謝を申し上げたいと思います。イタリア人としての連帯感が距離を超えて、私たちの心を近づけてくれます。このひどく大変な時期を乗り切る上でも、この思いがよりどころになるでしょう。

離れた距離でチームを率いること。

私がアーティスティック ディレクターを務めるディオール(DIOR)では、メインアトリエをパリに構えているものの、多くの作業がイタリアで行われています。ディオールはトスカーナ州にある工房を含め、イタリアにいくつかの拠点を構えているので、通常、コレクションを発表する前に私は一旦パリからイタリアに戻ります。最終版のプロトタイプやそのフォルムを確認するためです。 しかしながら、今シーズンはそのような時間はまったくありませんでした。状況が悪化する中で、最優先事項は何よりも自分たちを守ること。そして、今までとは違う働き方をすることでした。まずはリモートワークができるよう、直ちにコンピューターをスタッフたちに手配しました。チームのみんなと常に隣り合ってアイデアや言葉を交わす環境に慣れていたため、ソーシャルディスタンシングを守る働き方に違和感を禁じ得ないのは事実です。 情報の共有は、FaceTimeやWhatsAppといったツールを通じて行っています。それぞれが在宅で働くようになってから数週間が過ぎましたが、正直、なかなかに大変です。アイデアを考え、スケッチを描くだけならともかく、それを具体的な形にするのが私たちの仕事。とても複雑で、細かい指示が必要なプロセスなのです。

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