電力自由化EXPOに1580社が出展 ── 電力小売りの完全自由化にらみ
2月25日から27日まで、東京都江東区の東京ビッグサイトで「電力自由化EXPO(エキスポ)」が開かれました。2016年4月の電力小売りの完全自由化をにらんで電力関連ビジネスへの関心が強まっていますが、初の自由化関連の大規模な見本市となりました。会場には多くの企業関係者が集まり、関心の高さをうかがわせました。
主催者によると自由化関連だけで70社が出展し、関連する太陽光発電システムや風力発電関連の展示などをあわせると合計で1580社が出展する大がかりなものになりました。 並行して実務家や専門家による講演なども行われ、中でも26日に行われた東京電力や東京ガスなどの幹部による基調講演には多くの来場者が集まり、立ち見の聴衆が出るほどの盛況ぶりでした。 東京電力は、電力自由化で新規参入組との競争にさらされる側の大手電力会社ですが、100%子会社であるテプコカスタマーサービス(TCS)を昨年5月に設立して、10月から中部電力や関西電力の顧客向けに電力供給を始めている実績を強調していました。また東京ガスは、ガス事業者として今後、電力販売を拡大してゆく戦略を紹介し、聴衆の関心を集めていました。
電力自由化関連の展示に出展した企業は大企業からベンチャー関連まで実に様々です。自由化を受けて電力市場に参入する「新電力」向けの技術面での支援事業や、需要家向けに電力コストを抑えるプランマネジメントをおこなうエナリスや、新規参入を検討する事業者に電力小売りのサービスノウハウなどを提供する日本アイ・ビー・エムなど「ソリューション系」の出展が目立ちました。 このほか、消費者向けに日本初の電気料金の比較診断・情報サイトを運営するエネチェンジという電力ベンチャーが多くの来場者の関心を集めるなど、電力自由化を先取りした動きが活発に展開されていることがわかります。 来場者の多くは新電力事業者や一般電気事業者、オフィスや工場などの法人ユーザーなどで、その場で商談を始める関係者の姿も多く見られました。 2016年4月からの電力小売りの完全自由化は、市場規模が7・5兆円で、新たに自由化される部分は電力市場全体の約4割にあたる巨大市場となります。スマートフォンの普及が生み出す全体の市場規模に匹敵する規模とされ、ビジネスチャンスが大きいことから、海外からの注目も高まっています。会場では早くも次回のEXPOへの参加募集が始まっており、多くの企業が争うように出展場所の予約をしていました。来年の4月に向けて一段と動きが活発になってくることが予想されます。 (3Nアソシエイツ)