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新たな特産「一味唐辛子」で原発避難からの復興を 福島・小高で奮闘する女性

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47NEWS

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年以上がたつ。事故で一時、避難区域となった福島県南相馬市小高(おだか)区は、避難していた人が戻ってきたものの、かつてのにぎわいにはほど遠く、住民同士の関係も以前より希薄になった。そこで「一味唐辛子」を新たな特産にして町の活気を取り戻そうと一人の女性が立ち上がる。「小高一味」と名付けられたこの商品。果たして、復興の「スパイス」となり得るか―。(共同通信=高田知佳)  ▽イノシシ被害  赤や黄の色鮮やかな粒がぎっしり詰まった小瓶に鼻を近づけると、つんとした香りが広がる。細かい粒子の唐辛子は住民が育て一つ一つ手摘みしたものだ。町の中心部にある「小高工房」で一味唐辛子の商品を作る広畑裕子(ひろはた・ゆうこ)さん(61)は「日が暮れるまでここにこもってずっと唐辛子と格闘しています」と高らかに笑う。  広畑さんは小高区の出身。原発事故で避難指示が出た後、県内を転々とした。小高区の避難指示が解除されたのは2016年。久々に地元に戻ってまず驚いたのはJR小高駅前を行き交う人の少なさだ。「昔のように人間関係の濃い小高はどこへ行ってしまったのか」。厳しい現実を前に切ない思いに駆られた。

 そんな中でも、道でばったり昔の顔なじみに会うとうれしくなり、おしゃべりに花を咲かせた。これまでの暮らし、これからの小高について。不安を口にする住民も多かった。そんな時、畑仕事をしていた知人が「野菜が全てイノシシに荒らされてダメになってしまった」と悲しげに話した。  ▽ひらめき  イノシシなど鳥獣被害は小高区だけでなく、国の避難指示が出た自治体で深刻だ。人の住まなくなった家にイノシシが侵入して荒らした形跡があったり、多くの車が行き交う国道でもたびたび目撃されたりしている。  再び町の営みが戻った小高区でもイノシシが増えたため、被害は絶えなかった。しかし、その知人が「なぜか唐辛子だけはイノシシに食べられなかったんだよな」とぽつり。小高に戻ってきてから、地域おこしの起爆剤となり得る特産品をつくって地元を盛り上げようという思いを抱いていた広畑さんの頭の中に「これだ!」とひらめきが走った。  調べてみると、唐辛子は比較的容易に栽培できることが分かった。自宅のベランダや庭でプランターに植えて育てることができる。自分だけでなく多くの人に協力してもらうことで、震災前のようなつながりが強い小高を少しずつ取り戻すことができるかもしれない。広畑さんはすぐに行動を起こした。「小高工房」を立ち上げると、唐辛子の苗を100円で住民に販売。育った実を買い取って加工する仕組みを考案した。

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