名門バルサの「ぎりぎり」戦術 相手も困惑…敵が攻略も際立った絶技の長短【コラム】
スリリングなドルトムント×バルサ戦、際立った両軍の高いライン設定
今季のFCバルセロナは非常に高いディフェンスラインが特徴になっている。昔風に言えばオフサイドトラップだ。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第6節、バルセロナはアウェーでボルシア・ドルトムントと対戦。ラフィーニャが先制するが、PKをギラシに決められて追い付かれる。後半30分にフェラン・トーレスが2点目を決めるが、3分後に再びギラシのゴールで2-2。後半40分にフェラン・トーレスが決めて3-2で競り勝った。 【写真】「かわいすぎる」と話題 バルサの天才17歳と顔を寄せ合いラブラブの美人彼女 スリリングなゲームは、ハイラインのメリットとデメリットがよく表れている。前半8分にドルトムントはザビッツァーがゴールネットを揺らすが、その前にオフサイドがあってノーゴール。相変わらずバルセロナのラインが高い。後半5分にもドルトムントは際どいオフサイドで得点が認められなかった。2つのゴールがオフサイドで幻となったドルトムントは、逆にハイラインの裏を突かれてラフィーニャに決められる。ドルトムントもバルセロナほどではないが高いライン設定だった。 欧州の強豪で最初から引くチームはほぼない。バルセロナ、ドルトムントも高い位置からプレスをかけ、陣形が間延びしないようにディフェンスラインを高くしている。中盤のスペースは限定されていて、そこでいかに失わないか、高いラインの裏を突けるかがポイントになる。バルセロナは左ウイングのラフィーニャが中央へ入り、ボランチの1人もポジションを上げ、中央部をわざと密集化させる。狭いパスワークを苦にしない特徴を活かし、そこで主導権を握ってライン裏を突こうという意図だ。先制点は典型的な得点パターンだった。 それにしてもバルセロナのラインは高い。少しでも相手が前方にパスできない状況になれば、すかさずラインを止めて相手FWをオフサイドポジションに置く。その一瞬でMFとの距離が詰まるので、ライン間を瞬時に消滅させてしまう。背後とライン間を秒で消された相手はアイデアを失う。 ハイラインを相手に意識させる効果もあると思う。バルセロナのラインが高いのは相手も十分承知していて、オフサイドにさえならなければビッグチャンスを量産できそうだからどうしても意識してしまうのだろう。ぎりぎりを狙って、ぎりぎりでオフサイドになってしまうことが実に多いのだ。