序盤はポスター問題で揺れた東京都知事選。やっと政策に集中できる環境になったので都民はしっかり投票を!
任期満了に伴う東京都知事選挙の投開票が翌日となった7月6日、各候補者が都内各地、そしてネット上で「最後のお願い」を行った。 今回は現職の小池百合子東京都知事(無所属・現)をはじめ、実に過去最多を大幅に更新する56人が立候補した。 3選を目指す小池氏、立憲民主党の参議院議員だった蓮舫氏(無所属・新)、前安芸高田市長の石丸伸二氏(無所属・新)、2014年の都知事選で16人中4位となる約61満票を獲得した田母神俊雄氏(無所属・新)といった面々がいわゆる主要候補と目される中、選挙戦がスタート。 自民党と公明党が自主支援という形で支持する小池氏が常に先行。選挙戦終盤は、2番手と目された蓮舫氏が無党派層の取り込みに苦戦するという予想外の展開に。その無党派層、特に若年層を取り込んだのが石丸氏。主要メディアの調査では蓮舫氏を猛追する石丸氏が2位になるのでは?と思わせる論調もあった。 小池氏は「もっと!よくなる!東京大改革3.0」をキャッチフレーズに掲げ、待機児童97%減、首都直下地震対策により被害想定約3割減、所得制限を撤廃した子育て対策、さらには1期目で手がけた行財政改革による年間約1000億円の財源捻出など2期8年の実績をアピールし選挙戦を展開。 蓮舫氏は「7つの約束」と題した公約を掲げ選挙戦に突入。この7つは「本物の少子化対策」「頼れる保育・教育・介護・医療の実現」「徹底した行財政改革」といった小池氏を大きく意識したもの。 また蓮舫氏は「神宮外苑の再開発問題」にも言及しているのだが、これについては再開発事業の事業主体が東京都ではなく宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社、三井不動産株式会社の4者であることから「都知事選の争点にはなりえない」という意見も出ており、有権者は投票前によく吟味することが必要といえそうだ。
6月20日の告示前から立候補予定者がポスター掲示場の上限である48人を超えていることが話題となり、ふたを開けると56人が立候補し、実際に掲示場が足りず、その対応策が話題に。またジャックされた場所に張られたポスターの中身があまりに選挙とはかけ離れていることに批判が集まったり、実際に警視庁が都迷惑防止条例違反の疑いで警告を行ったりと政策以前の問題が盛り上がりすぎた今回の都知事選。ポスター問題が下火になってやっと政策に集中できる環境になったといえるので、残り少ない時間ではあるが都民にはよく考えて投票所に行ってもらいたいところだ。 また今回は同日に江東、品川、中野、北、板橋、足立の6区と八王子、府中、南多摩の計9選挙区で都議会議員の補欠選挙の投開票も行われる。 現在の都議会の勢力図が自民27、都民ファーストの会25、公明党23となっており、今回の9議席がどうなるかは都政に大きな影響をもたらすので、都知事選に並ぶとも劣らない重要な選挙となっている。 中でも注目を集めているのが江東区と中野区。江東区は元職の山崎一輝氏(自民)が立候補。山﨑氏の実父・孝明氏は江東区長だったのだが、5選目となる昨年4月の区長選を前にがんのため死去。現職の都議だった一輝氏が区長選に立候補したのだが、時点で落選。しかし当選した木村弥生氏はその後、公職選挙法違反の疑いがあることが発覚し、10月に辞職という何とも数奇な状況となった。一輝氏は12月に行われた区長選には出馬せず、今回の補選に臨むという選択をした。 中野区は自民、都民ファ、共産、無所属の4人が立候補。都民ファの候補は特別顧問を務める荒木ちはる氏。荒木氏は2021年の選挙で2度目の当選を果たしたのだが、2022年の参院選出馬のため失職。今回は自らの議席を取り戻す戦いとなり、小池都知事との連携を訴え浸透をはかる。 また地方選挙では国政選挙などとはねじれ現象が起こることがしばしばあるのだが、今回の補選は都知事選では小池氏を支持する都民ファと自民が戦うというより複雑な構図となっていることも注目を集めている。