【ABC特集】シロ12歳「供血犬」としての壮絶な過去 過酷な環境を生き抜いてたどり着いたのは・・・
シロと同じケージにはもう1匹、ザクロという犬がいました。血液の病気で献血ができなくなり、野々村さんたちが引き取ろうと東京に向かった日のことです。(野々村さん)「到着する10分前に大きな発作が起きて、行ったときは目も見開いたままで瞬きもできないような状態で。車の中で点滴しながら京都まで帰ってこようって話になって」
しかし、ずっと一緒だったシロも見守る中、ザクロはそのまま息を引き取ります。
(野々村さん)「京都の病院で聞いた先生の話だと、処置をちゃんとしてれば助かったかもしれないっていうことはおっしゃってたんですけど。やった方がいいっていうお薬はやってなかった」
シロがいま暮らしているのは、野々村さん夫婦の経営する美容院。野々村さんが接客していると、そばに来てくつろぎます。ある女性客は、「なごみますね。ひと声いつもかけて帰ります。元気?って。シロの生きてきた状況を聞いたのは正直私も生まれて初めて。そういう犬いるんやって。そういう意味では一つ視野が広がった」と話しました。
美容院の2階の自宅では、野々村さん夫妻と4人の子どもが、シロにたっぷりと愛情を注ぎます。多くの人に愛されて過ごす、穏やかな日々・・・しかし、その体は病にむしばまれています。
(野々村さん)「これは心臓病のお薬です。大好きなソーセージに1個ずつ埋め込んでぱくっと一口で食べるようにしてます」薬を飲むのをやめると、数日で死んでしまう状態だといいます。シロのかかっている心臓弁膜症は、心臓の弁が切れて血液が逆流してしまう病気。通常の2倍近くまで心臓が拡張し、肺を圧迫しています。
高齢のため手術もできない中、ついに去年の秋には・・・(野々村さん)「息子と散歩に行って、帰ってきたら花壇のところで倒れてしまって。そのときはまったく動けなくって、息があがって心臓の動きも全然違って。先生に電話したらすぐに連れてきてくださいって言われて」
獣医も野々村さんも、最悪の事態を覚悟しましたが、懸命の治療の甲斐あり、一命を取り留めることができました。