チームの旗印となった“20歳の四番”ヤクルト・村上宗隆/2020の主役
開幕から、不動の四番に座り続けた。弱冠20歳の村上宗隆は、リーグトップを争う打率、打点、本塁打を記録。史上最年少の三冠王もあるかと思われたほどだ。 ただ、四番・村上の船出は、決して順風満帆ではなかった。開幕戦となった6月19日の中日戦(神宮)、延長10回二死満塁の場面で、空振り三振を喫している。村上は試合を振り返って「僕が打たなければいけなかった」と唇を噛んだ。 村上は四番打者を「チームの勝敗を左右する打者」だと言う。自分の出来がチームの命運を分ける――。それを痛感し、適時打にこだわった。得点圏打率.352を誇り、巨人・岡本和真や阪神・大山悠輔ら、他球団の四番打者と熾烈な打点王争いを繰り広げた。 もちろん、持ち味の長打で、試合の流れを一気に変えることもあった。7月2日の広島戦(神宮)では、同点で迎えた無死満塁の場面で、サヨナラ本塁打。四番として、大仕事をやってのけた。 調子を落とすことはあっても、あくまで短期間。四番としての矜持が、村上を奮い立たせた。チームは最下位に沈んだが、ベンチでも声を張り上げ続ける若き四番の姿は、最後までチームの旗印であった。 写真=BBM
週刊ベースボール