「キチリキキチロウ」とは呼ばないで…台湾代表選手を先住民・パイワン族の発音で呼ぶよう要望
【台北=園田将嗣】「キチリキキチロウ・キョウカン」と呼ばないで――。野球の国際大会「ラグザス プレミア12」に出場している台湾代表で先住民族「パイワン族」の選手名について、台湾の先住民族団体が日本メディアに対し、パイワン語の発音に近い形で呼ぶよう求めている。 【写真特集】プレミア12の華…日韓台のチアダンサーが競艶
この選手は台湾プロ野球で2022、23年に2年連続本塁打王に輝いたギリギラウ・コンクアン。プレミア12の台湾戦を放映した日本の民放テレビ局が、ギリギラウ選手の漢字表記「吉力吉撈鞏冠」を日本語読みで「キチリキキチロウ・キョウカン」と紹介し、SNSで「珍しい名前の選手」などと話題を集めた。
先住民族団体「台湾原住民族青年公共参与協会」はSNSで、ギリギラウ選手を原音に近い呼び方にするよう求める公開書簡を公表した。同協会は本紙の取材に対し、「名前を正しく発音することは、社会的な地位や人権意識の向上につながる」と答えた。
台湾には、当局認定で16の先住民族(全人口比約2・5%)が暮らす。日本統治下から戦後の国民党独裁政権時代に迫害や差別などを受け、社会的、経済的に苦しい境遇に置かれてきた歴史がある。台湾では近年、独自の言語や文化を継承してきた先住民族の地位向上などを図る動きが広がっている。5月に改正「姓名条例」が公布され、先住民族の人々が戸籍登記や旅券を申請する際、先住民族の言語で姓名を単独表記することができるようになった。