日本の「悪名高き法制度」が浮き彫りになった! 世界のメディアは袴田さんの「無罪判決」をどう報じたか
9月26日、静岡地方裁判所は1966年の一家4人殺害事件の再審の末、死刑が確定していた袴田巌(はかまた・いわお)を無罪とした。半世紀にわたって死刑囚として服役してきた、「世界で最も長く拘置された死刑囚」の無罪判決を、多くの海外メディアも報じた。 【動画】無罪判決の報を聞く袴田巌 日本を除き、G7で唯一死刑制度を持つ米国の日刊紙「ワシントン・ポスト」は、この判決が「日本での死刑制度に関する議論を再燃させた」と書く。 また、「その無罪判決は、日本の悪名高き、厳しく、時間のかかる法制度を浮き彫りにした。その制度において、有罪率は99%を超え、再審はめったにおこなわれない。第二次大戦以降、再審で死刑判決が覆ったのはわずか5件のみだ」と報じるとともに、ここ20年ほどで100人近くの死刑が執行されている日本に対し、人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」が、「死刑制度に対する人権上の懸念に対処するよう」求め、その声明のなかで「精神的、知的障がいを持つ受刑者らが、国際的な法律や基準に反して、死刑に処され続けている」と訴えたと伝える。 英紙「ガーディアン」も、G7のなかで死刑制度を採用している国は日本と米国のみだとしたうえで、日本の「絞首刑の執行が知らされるのは、その数時間前で、弁護士や家族と話す機会は与えられない。最後の会話は大抵、仏教の僧侶とだ」と説明する。 また、仏「ル・モンド」紙は、この事件が日本における死刑制度廃止支持者のシンボルとなっていたと伝えつつ、一方で死刑制度は日本の国民から高い支持を得ている点も指摘。政治家らも、死刑を廃止するつもりはないと報じた。 国民からの支持については、ガーディアンもこう書く。「2019年の世論調査では、回答者の80%が極刑は『やむを得ない』と答えており、死刑の廃止を支持する人はわずか9%だった」 また、同紙は人権NGO団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のアジア局プログラムオフィサー、笠井哲平の言葉も引用する。「この事件は、日本のいわゆる『人質司法』制度の無数の例の一つに過ぎません」。また、容疑者が「長期にわたる恣意的な勾留によって自白を強要される」ことや、「取り調べ中の脅迫」もよくあることだと報じる。 袴田巌は、1966年6月に起きた親子4人の殺害事件で、1968年に死刑判決を受けた。袴田は勾留中に自白したが、公判でそれを撤回、自白は強要されたものだったと訴え、以来無実を主張してきた。 再審で静岡地方裁判所は、捜査当局が重要な証拠や自白を捏造したと判断し、無罪を言い渡した。弁護団や支持者らは、検察に控訴しないよう求めている。
COURRiER Japon