「吊るしで十分ですよ」 M1搭載MacBook Airを手にしたデザイナーは言った
DTP黎明期からMacでエディトリアルデザインに取り組んできたベテランデザイナー、菊池美範さんが経験する三度目のCPUアーキテクチャ変更はどうか? M1搭載MacBook Airが届いて2日で実戦配備した様子を語ってもらった。 インストールされたPhotoshop CC 2021はM1プロセッサのGPUを利用できる MacBook Air(M1, 2020)がリリースされてからデザイナー仲間によく質問された。本当にちゃんと使えるの? プリンタが動かなくて困ることはない? Adobe CCは? モリサワパスポートやフォントワークスLETSは使えないんじゃ? リリースされたばかりのApple Silicon搭載Macには、これらについての完璧な互換性は担保されていない(2020年12月3日現在)。一応動作するものの、まだβ版で安定した動作が保証がされていないものもある。それでも私はこうお答えしたい。 「特別定額給付金の10万円はもう使われてしまったかもしれないけど、迷っているのならそのお金をこのマシンに充てたつもりで買ってみてはどうですか。高い方じゃなく一番安いメモリ8G、256GのMacBook Airを。吊るしで十分ですよ」
必要にして十分なMacBook Airの「吊るし」
制作環境の移行に慎重なプロのクリエイターにとって、Macの歴史は苦難の日々だった。68KからPowerPC、Intelへとプロセッサが変わっていく時代、なかなかリリースされないSystem 7に翻弄され、MacOS 9が動作する最後のPower Mac G4を血眼になって探し求め、Mac OS Xでは泣きながら「QuarkXPressがまともに動かなくなるからG4マシンを返してほしい」と懇願するDTPデザイナーの後ろ姿……。 苦労をともに味わってきたベテランクリエイターにも、今回のMacBook Airは容易に快適なクリエイティブ環境が手に入る絶好のチャンスだ。2022年のうちにはmacOSのメインプラットフォームはApple Silicon搭載のMacが主流になる。そのときに備えてmacOS Big SurとM1プロセッサ搭載のMacBook Airを徹底的に使いつくす方が、新しい環境に慣れて移行が楽になるはずだ。