国内「大豆肉」ハンバーガー勢力図。モスにバーキン、ロッテリアにフレッシュネス、なぜ植物肉を使うのか?
これまで、アメリカを中心に広がってきた「植物性代替肉」、いわゆる植物肉(大豆肉)。 【全画像をみる】国内「大豆肉」ハンバーガー勢力図。モスにバーキン、ロッテリアにフレッシュネス、なぜ植物肉を使うのか? 2019~2020年にかけて、日本でもロッテリアやフレッシュネスバーガー、バーガーキングなどのファストフードチェーンを中心に、植物肉・大豆肉の外食産業への進出が目立った。 なぜ植物肉・大豆肉の展開を進めるのか。国内のハンバーガーチェーンを主な対象に、その理由をたずねた。
2015年から「ソイパティ」展開のモスバーガー
国内のファストフードチェーンでいち早く植物肉を手がけたのが、モスバーガーを展開するモスフードサービスだ。 モスバーガーでは2015年から大豆(英語ではsoy=ソイ)を主原料とした「ソイパティ」(動物性の食材を一部つなぎとして使用)を、通常のハンバーガーパティ(牛肉)の代わりに選べるようにしていた。 2020年3月には、動物由来の食材と匂いの強い野菜を使わない「グリーンバーガー」を一部店舗で先行発売し、2020年5月からは全国展開している。 モスバーガーが「グリーンバーガー」に採用するソイパティのメーカーは非公開。 モスフードサービスの広報担当者は、 「『グリーンバーガー』は動物性食材を使用しないだけでなく、おいしさにとことんこだわって開発しています」 と自信を語る。 「パティだけでなく、全体として動物性食材を使用しないバーガーの商品化に対する喜びの声を多くいただくなど、大きな反響があった。今後もさまざまな食のニーズへの選択肢を用意し、健康志向の方や食事に制限のある方も一緒に食事を楽しんでいただけるよう、継続的な取り組みを行っていきたい」(モスフードサービス広報)
「おいしさ」と「健康」「環境意識の高まり」が展開理由
国内のハンバーガーチェーンでは、2020年7月にロッテリアがオリジナルのソイパティを使用した「ソイ野菜ハンバーガー」と「ソイ野菜チーズバーガー」をレギュラーメニューとして全国展開(2019年9月から期間・店舗限定で販売)。 また、フレッシュネスバーガーも2020年10月から低糖質バンズとソイパティを組み合わせた「ザ・グッドバーガー」の本格販売をスタートしている。 ロッテリアが「ソイ野菜ハンバーガー」シリーズに採用するのは、不二製油グループとロッテリアが共同開発したソイパティ。 一方、フレッシュネスバーガーは、植物肉スタートアップのDAIZが開発した「ミラクルミート」を使用している。 ロッテリア広報は、大豆肉を取り入れた理由について、 「『おいしさ』と『健康』の両立、世界的な牛肉の消費量増加に伴う地球温暖化や森林伐採などの環境汚染が問題視される中で、欧米で代替肉の使用が広まっていることを視野に、日本人になじみ深い『大豆』に着目しました」(ロッテリア広報) と話す。 不二製油グループは、大豆一筋で約60年の知見とノウハウがある、いわば大豆のプロ。ロッテリアがイチから自社で開発を行うよりも、不二製油グループと共同開発することで、昨今のニーズに対応できると判断したという。 「女性を中心とした『ゆるベジ』と呼ばれるフレキシブルな消費者のほか、30~50代男性の利用も見受けられます。また、その先にある環境意識の高まりへの対応からも、評価をいただいている状況です」(ロッテリア広報) 一方、フレッシュネスバーガー広報は、DAIZのミラクルミートを採用した理由について、 「アメリカ、イスラエル、フランス、日本など、さまざまな国の企業が製造する代替肉を10種類ほど試食した中で、最もおいしかったこと」 と自信を語る。 「ほどよい食感とほのかな大豆の香りが、まだ代替肉になじみの少ない日本人には間違いなく受け入れられやすいと感じました。フレッシュネスバーガーを利用しているお客様は比較的、流行感度の高い方が多く、発売前よりSNSなどで代替肉を使った商品を販売してほしいとの声をいただいていました。販売数は当初見込みに比べて約1.5倍となっており、女性のお客様から多くの支持をいただいている」(フレッシュネスバーガー広報)